Archive for the ‘裁判手続’ Category

訴状の書き方

2020-07-11

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は訴状の書き方について記載したいと思います。本人訴訟をご検討されている方は是非参考としていただければと存じます。

 

訴状に必ず記載する必要がある項目

民事訴訟を提起するためには裁判所に訴状を提出する必要があります。訴状に記載すべき内容は民事訴訟法133条に規定されております。訴状に必ず記載すべき内容として以下のものを挙げております。

 

①当事者及び法定代理人

②請求の趣旨及び原因

 

当事者とは、原告、被告を指します。

 

請求の趣旨、請求の原因とは?

・請求の趣旨

請求の趣旨とは、簡単に言えば原告が欲しい判決を記載します。

例えば、売買によって本を1000円で売った事例ですと以下のような記載となります。

 

「被告は原告に対し、金1000円を支払え」

 

・請求の原因

請求原因とは、請求を特定するための「事実」を記載します。民事訴訟では、権利の存否を巡って争うことになります。権利は観念的な存在であり人間の五感をもって直接認識することができません。そこで、「権利」を「事実」と結び付けることで権利の有無を判定することになります。上記事例で売買を特定するための「事実」を請求の原因に記載する必要があります。民法555条により売買の成立要件は、①財産の移転約束と②代金の支払い約束であります。よって、売買に関する「事実」として、①財産の移転約束(この事例では本の所有権をYに移転する約束)と②代金の支払い約束があったことを記載する必要があります。裁判所は当事者が主張しない事実を認定することはできませんので、この「事実」を主張しなければ敗訴することになりますので、要件事実をもれなく記載することが極めて重要になります。

 

その他の記載項目

訴状には請求の趣旨や原因の他、請求を理由づける関連事実を具体的に記載し、事実を立証する証拠も記載いたします。

また、当事者の氏名や事件の表示、付属書類の表示、日付、裁判所の表示、当事者または代理人の記名押印、原告又は代理人の連絡先、送達場所等細かい項目の記載も必要です。

訴状のひな形は裁判所のホームページに掲載されておりますので、ご参考としていただければと存じます。

 

当事務所では本人訴訟を支援しております。裁判書類の作成はもちろん、裁判の進め方や流れについても丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にご相談いただければと存じます。また、訴訟物が140万円以下で簡易裁判所管轄の事件に関しては訴訟代理人にもなれますので、ご相談いただければと存じます。

証明責任ついて

2020-05-16

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

今回は民事裁判での証明責任について述べたいと思います。

民事裁判においては、争いがある事実について審理を進めていきます。原告、被告とも立証に努めたが、その事実があったかなかったか判断できなかった場合でも判決を下せるように、当事者の一方に証明責任を負わせ、事実の存否が確定できなかった場合、立証責任を負う側に不利益を被るリスクを負わせています。これを証明責任(立証責任)といいます。

 

証明責任は原則として、自己に有利な法律効果の発生を求める者が負うことになります。その代表的な考え方として法律要件分類説が挙げられます。

 

・権利の発生について争いがある場合は、その権利を主張する者が証明責任を負います

・権利の消滅について争いがある場合は、その権利を否認する側が証明責任を負います。

 

上記の原則について下記事例で説明いたします。

 

事例 XがYにノートを1000円で売却した。

 

1.Yが売買の事実を否認している場合

 

この場合の証明責任はXにあります。Xは売買の発生を主張しなければなりませんので、売買があったとの事実はXが証明責任を負うことになります。

 

2.Yが売買の事実を認めたが、既に代金を支払ったと主張した場合

 

この場合の証明責任はYが負うことになります。Yの代金の支払いにより、売買に基づく代金請求権は消滅することになります。Yは売買があったことを認めているため、売買の事実は証明不要で、売買の事実が存在したものとして扱われます。一旦発生した事実が代金の支払いにより消滅したとの法律効果をYが求めているため、代金支払いの事実については、Yが証明責任を負うことになります。

 

 

実際の実務では、立法趣旨や当事者間の公平等を考慮して実質的に一部修正されております。証明責任を負わない側は何もしなくともよいというわけではなく、精一杯立証に努めることが大事です。

参考としていただければ幸いです。

弁論主義について

2020-05-09

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

今回は民事訴訟の基本原則の一つである弁論主義について記載したいと思います。

民事訴訟を起こすに当たって知っておかなければならない基本原則ですので、本人訴訟をお考えの方は参考としていただければと思います。

 

弁論主義とは?

弁論主義とは、一言でいうと、主張と証拠は当事者が揃えなさいという原則です。弁論主義は3つのテーゼから成り立っております。

 

弁論主義第1テーゼ

当事者の主張しない主要事実は、裁判所は判決の基礎としてはならない

 

弁論主義第2テーゼ

自白が成立した事実は、裁判所はそのまま判決の基礎としなければならない(自白の拘束力)

 

弁論主義第3テーゼ

当事者間の争いのある事実認定の基礎となる証拠は当事者が申し出たものでなければならない(職権証拠調べの禁止)

 

民事訴訟では、権利の存否を巡って争うことになります。権利は人間の五感では認識できないので、「権利」を「事実」と結び付けることで権利の有無を判定することになります。弁論主義第1テーゼでは、権利の存否を判断するために必要となる主要事実は当事者が主張したものに限るとの原則で当事者が主張しなければ、裁判所はそれを認定してはならないとしております。例えば、貸金返還訴訟において、原告が金銭を交付した事実を主張しなかった場合、仮に裁判所が金銭交付の事実を知っていたとしても、原告がその事実を主張しなければ金銭交付がなかったものとして扱われ、結果として原告が敗訴することになります。

 

弁論主義第2テーゼでは自白の拘束力について述べております。民事訴訟は、私人間の法的紛争の解決を目指しております。当事者間に争いのない事実について裁判所はそのまま認めなければならないとされております。例えば、貸金返還訴訟で、原告被告ともに金銭交付の事実を認めた場合(自白の成立)、仮に真実は金銭交付がなかったことを裁判所が知っていたとしても、当事者双方が認めている(自白が成立している)以上、裁判所は金銭交付があったものとして、審理を進めなければなりません。なお、自白が成立したものを撤回するには厳しい要件があります。そのため、事実認否は慎重に行う必要があります。

 

弁論主義第3テーゼでは職権証拠調べを禁止しております。争いのある事実認定は証拠に基づいて行われます。その証拠は当事者が申し出たものでなければならないという原則で、裁判所が積極的に調査に乗り出すことを禁止しております。これは、民事訴訟は原告被告とも対等な立場であるとの前提で作られており、裁判所が介入することでどちらか一方に有利にならないよう公平の観点から定められたものと思われます。

 

以上が弁論主義の内容です。

ご参考としていただければ幸いです。

処分権主義について

2020-05-02

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

今回は民事訴訟の基本原則の一つである処分権主義について記載したいと思います。

民事訴訟を起こすに当たって知っておかなければならない基本原則ですので、本人訴訟をお考えの方は参考としていただければと思います。

 

処分権主義とは?

処分権主義について簡単に説明すると、訴訟の開始、審判の範囲、訴訟手続きの終了については、当事者にゆだねる原則を言います。

 

民法の大原則として、「私的自治の原則」があります。これは、私人間の法律関係は、個人間に任せ国家が関与してはならないとする原則です。処分権主義はこの私的自治の原則を訴訟に反映したものとして規定されます。

つまり、訴訟を開始するかどうか、審判の範囲や訴訟手続きを取り下げるか継続するかは当事者の判断に任せ、裁判所が勝手に判断してはならないという原則です。

 

訴訟の開始について

私人間の紛争は、当事者から訴えがなければ裁判所は訴訟手続きを開始してはならないとされております。国家は私人間の紛争に自発的に関与してはならず、訴えがあって初めて裁判が開始されることになります。「訴えなければ裁判なし」と表現されたりします。

 

審判範囲

原告が300万円の貸金返還を求めて訴えた場合、仮に裁判所が債権は400万円存在するとの確証を得ていたとしても、400万円の支払いを命ずる判決をすることはできず、上限300万円の範囲内で判決を出さなければなりません。

 

また、原告がA土地の所有権の確認を求めて裁判を起こした場合は、裁判所は所有権の確認を超えてA土地を引き渡すよう言い渡してはならないとされております。

 

このように裁判所は、当事者の申し立てより多くの権利を与えることは許されておりませんので、訴状を作成する際は十分注意して作成することが必要です。

 

訴訟手続きの終了

当事者が訴えを取り下げたいと申し出たときは、当事者の意思通り訴えを取り下げることができます。

 

以上のように、民事訴訟は当事者が訴えた範囲でしか裁判所は判断してもらえません。本に訴訟をご検討の方は、このことをよく認識し、訴状を注意深く作成する必要がございます。

民事訴訟の基本と流れ

2020-04-18

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

今回は民事訴訟の基本と流れについて記載したいと思います。

多少正確性を欠くところもありますが、本人訴訟をお考えの方は、ご参考としていただければと思います。

 

民事訴訟の基本

民事訴訟の目的は、私人間の法的紛争の解決です。民事訴訟では、権利の存否を巡って争うことになります。権利は観念的な存在であり人間の五感をもって直接認識することができません。そこで、「権利」を「事実」と結び付けることで権利の有無を判定することになります。何を言っているかイメージが湧かないと思いますので、以下の売買の例をもとに解説したいと思います。

 

事例 XYに本を1000円で売った。

   YXから売買契約に基づいて1000円の支払いを要求されている

   YXの要求に応ずるべきか

 

この場合、XYに対して1000円を請求できる権利があるかどうかによって判断することになります。権利は五感で認識できないので、売買を構成する事実があったかどうかで判断することになります。民法555条により売買の成立要件は、①財産の移転約束と②代金の支払い約束であります。よって、権利の有無は、①財産の移転約束(この事例では本の所有権をYに移転する約束)と②代金の支払い約束があったかどうかで判断することになります。これらの事実があった場合は、XYに1000円を請求できる権利があると判断されるため、Yは阻害事由等がない限り原則1000円を支払う必要があります。

 

民法555条

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 

民事訴訟の流れ

民事訴訟は、訴え、審理、判決の流れで進められます。訴訟は原告の訴えにより開始されます。民事訴訟で審理の対象となるのは原告の被告に対する権利の有無です。そこで、訴状では、審理の対象となる権利または法律関係を明らかにし、それを裁判官が判断できるよう具体的な事実の形で主張いたします。

 

裁判所は、当事者が主張した事実のみに基づいて審理を行わなければならないとされております。また、当事者間で争いのない主要事実は、例え真実が違っていたことを裁判所が知っていたとしても、当事者の主張通り認めなければならないとされております。従って裁判所で事実認定を巡って行われれる審理は当事者間で争いのあるものに限定されます。当事者間で争いのあるものに関しては当事者が申し出た証拠によって、事実関係の有無を判断しなければならないとされております。

裁判の進め方として、原告が訴状で具体的な事実を主張し、被告は答弁書で原告が主張した事実の認否を明らかにします。被告が認めた事実は、証拠調べを要せずそのまま認定し、被告が否認した事実についてのみ審理が行われます。

 

上記事例においては、原告は①財産(本)の移転約束、②代金の支払い約束があったことを訴状で主張いたします。被告は答弁書において①、②の事実があったかどうかを認否で明らかにします。例えば「①は認める。」「②は否認する」等です。この場合、裁判所での審理は②の事実があったかどうかに限定して行われることになります。(仮に裁判所は刑事裁判等で①の事実がなかったことを知っていたとしても、①の事実があったことを前提に審理を進めなければなりません。)原告は、②の事実があったかどうかを証拠によって、立証することになります。原告の立証が成功し、裁判官に対し②の事実があったという心証が形成されれば、原告が勝訴することになります。

 

以上、民事訴訟の流れを簡単に記載いたしました。若干正確性に欠けるところもありますが、大まかなイメージをつかんでいただければと思います。

民事執行法が改正されます!!

2020-03-28

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

令和2年4月1日に民事執行法が改正されることになります。

この度の改正により、債務者の財産調査が行いやすくなりました。

 

1.債務者の財産開示手続の見直し

 

債務者の財産に強制執行するためには、裁判所に強制執行を申し立てる必要があります。

裁判所への強制執行申し立てには、債務者のどの財産に対して強制執行するか予め特定する必要がございます。従って、債務者の財産状況がわからなければ、強制執行はできません。

 

今までは、財産開示制度という制度がありました。

これは、債権者の申し立てにより債務者を裁判所に呼び出し、どんな財産を持っているかを債務者自身に陳述させる制度です。

しかし、裁判所から呼び出しがあっても出頭しない債務者も多く、あまり利用されておりませんでした。

この度の改正でこの財産開示制度をより使いやすくし、実効性のあるものにしようと試みました。

主な改正点は以下の2点です。

 

①罰則の強化

正当な理由なく出頭しなかったり、虚偽の陳述や陳述すべき事項を陳述しなかった場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるようなりました。(今までは、30万円以下の過料)

場合によっては、懲役刑まで課すという心理的強制力を働かせ、制度の実効力を高めようとしております。

 

②申し立てに必要な債務名義の拡大

財産開示制度を申し立てるには執行力を有する債務名義が必要です。今までは、債務名義のうち仮執行宣言付判決、執行証書等では、申し立てることができませんでした。今回の改正で債務名義の種類を問わず申し立てることができるようになりました。

 

2.第三者からの情報取得手続の新設

今回の改正で債務者以外の第三者からも債務者の財産情報を取得できるようになりました。

 

債務名義を有している債権者が裁判所に申し立てることで裁判所から市役所や銀行、法務局に対して債務者の財産情報(預貯金、不動産、給与)の提供を命じてもらうことができるようになりました。

 

①給与に関する財産情報について

養育費の支払いや生命又は身体の障害に関する損害賠償の支払いに関する債務名義を有している債権者は、裁判所に申し立てることで、勤務先に関する情報を市町村、日本年金機構または厚生年金の実施機関に対し提供することを命じてくれます。

なお、この制度を使用する前提として財産開示手続きを経なければなりません。

手続きの流れは下記のとおりです。

 

財産開示手続⇒裁判所に申し立て⇒裁判所が市町村、年金機構等に情報開示命令⇒回答

 

②不動産に関する財産情報について

債務名義(特に限定はありません)を有している債権者は、裁判所に申し立てることで、債務者が登記名義人となっている不動産の情報を法務局に対し提供することを命じてくれます。

なお、この制度を使用する前提として財産開示手続きを経なければなりません。

手続きの流れは下記のとおりです。

 

財産開示手続⇒裁判所に申し立て⇒裁判所が法務局に情報開示命令⇒回答

 

③預貯金債権に関する財産情報について

債務名義(特に限定はありません)を有している債権者は、裁判所に申し立てることで、銀行等の金融機関に対し預貯金に関する情報を提供するよう命じてくれます。

なお、上記①、②と異なりこの制度を使用する前提として財産開示手続きを経る必要はございません。

これは、財産開示手続きを経てしまうと、債務者に強制執行することが知られてしまい、予め銀行から預貯金を引き出されてしまうことを防止するためです。

手続きの流れは下記のとおりです。

 

裁判所に申し立て⇒裁判所が金融機関に情報開示命令⇒回答

 

3.不動産競売における暴力団員の買受を防止するための規定を新設

暴力団員等が不動産競売の買受人にならないための規定を設けました。

 

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