Archive for the ‘相続関連’ Category

相続により取得した土地の所有権放棄制度について

2021-05-29

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

先日は、相続登記の義務化について記載いたしました。その中で相続により取得した土地の所有権放棄制度が創設された旨、お伝えいたしました。本日は相続により取得した土地の所有権放棄制度について詳しく記載したいと思います。

 

所有権放棄制度創設の背景

今国会で相続登記が義務化されました。相続登記を長期間放置している理由の1つとして資産価値のない不動産を取得してしまった場合、修繕費や取り壊しの費用がかかったりすることが挙げられておりました。今までは所有権を放棄する制度がなかったため、所有権を手放すには相続放棄しか方法はありませんでした。相続放棄するには要件を満たさなければなりませんし、他の相続財産全てを放棄しなければならない等いろいろな制約がありました。また、市町村に寄付しようにも例えば山のような資産価値がないものは無料でも受け取ってもらえません。

そこで、相続登記を義務化するに当たって、不要な土地を放棄して国庫に帰属させることができる制度が創設されました。

 

所有権放棄制度

所有権放棄制度ですが無条件で認められるわけではありません。様々な制約が設けられるとともに費用負担も設けられるため実質的は利用できない制度となっているかと思います。

国庫への帰属が承認される要件は以下の全ての条件に当てはまらない場合です。

・一定の基準に該当する崖を含む土地で、その管理に過度の費用、労力を要するもの

・土地の通常の管理又は処分を阻害する、工作物、車両又は樹木等があるもの

・除去しなければ、通常の管理、処分ができないような埋蔵物があるもの

・管理、処分のために、隣接地の所有者との訴訟が必要となるもの

・その他通常の管理又は処分に、過度の費用や労力を要するもの

 

また、次の場合は、承認されません。

・建物の存する土地

・担保権又は使用収益を目的とする権利が設定されている土地(=抵当権や地上権、賃借権等がある土地)

・通路など、他人による使用が予定されている土地を含むもの

・一定の基準を超える土壌汚染がある土地

・境界紛争や所有権争いがある土地

 

つまり第三者の権利が一切ないきれいな更地しか国は受け付けないとのことなので、恐らく市街地の資産価値のあるような土地以外は受け付けられないと思います。

 

所有権放棄制度の手続き

所有権放棄制度が利用できるのは、その土地を相続又は相続人による遺贈により取得した者となります。また、上記のとおり承認要件を満たしている土地である必要があります。

この条件を満たしたものが法務大臣に対して承認申請と必要な手数料、管理料を支払うことで行います。

管理料は当該土地の10年分の管理費に相当する額が予定されております。

 

まとめ

相続登記の義務化に伴って不要な土地を放棄できる制度が設けられました。しかし、厳しい条件と費用負担を強いられるため、実質的に利用できる場合は限られるものと考えます。

相続登記の義務化について

2021-05-22

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

今国会において相続登記の義務化の法案が成立いたしました。

本日は、この相続登記の義務化について記載したいと思います。

 

相続登記の義務化に至った背景

相続登記の義務化に至った背景として所有者不明の不動産が全国規模で増加しているからです。所有者不明の不動産は全国で約410万ヘクタールにも上りほぼ九州の面積に匹敵する規模となっております。所有者不明の土地があると迅速に公共事業等ができません。自治体は戸籍から相続人を調査することになりますが、長期にわたって相続手続きをしていない場合は、何世代にもわたって相続が繰り返されており、最終的な相続人が数10人から100人単位になることもあり、交渉がかなり難航することもあります。また、家屋が長期にわたって放置していると、空家の崩落や火災の原因となったり、不法投棄が増えたりと深刻な問題となっておます。そのような背景もあって今国会で相続登記が義務化されました。

 

相続登記の義務化の概要

不動産の相続開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知ってから3年以内に所有権移転登記を申請しなければならないとされました。正当な理由なく相続登記を怠った場合は10万円以下の過料に処されることになりました。なお、正当な理由はまだ明らかにされておりません。

 

相続人申告登記制度の創設

例えば、遺産分割協議が難航し、3年以内に登記が困難な事例もあります。このような方のため、相続人申告登記制度というものが創設されました。これは相続人のうち1人が法務局において自分が相続人であることを申告することによって相続登記の義務を履行したとみなされる制度です。登記官は申請人の氏名及び住所等を登記簿に記載いたします。

 

相続登記を促進するための制度

相続登記を義務化するにあたっていくつかの便宜を図っております。

・所有権の放棄を可能とする

・法定相続分での相続登記後の登記の簡略化

 

今までは、所有権を放棄することができませんでした。ほとんど資産価値がない不動産を相続すると解体費用等の負担が生じたり、売却できなかったりで相続登記が進まない要因となっておりました。今般の義務化にあたって所有権放棄を認め、国庫に帰属させる制度を創設しました。但し、無制限で認められるわけではなく10年程度の管理費を支払う必要がございます。また、放棄ができない場合もあります。

 

また、法定相続分での相続登記後の登記は下記の場合、簡略化がされることになりました。

こちらは遺産分割協議等の前に事前に法定相続分で登記を入れた後の登記の場合には登記権利者が単独で申請できるようになりました。

  1. 遺産の分割の協議・審判・調停による所有権の取得に関する登記
  2. 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
  3. 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
  4. 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

 

相続登記の義務化の施行日

公布後2年以内に施行されることになります。施行日については今後、政府で議論されることになりますが、恐らく2023年度を目途として施行されるのではないかと思います。そのため現時点では直ちに相続登記をする必要はありませんが、近いうちに登記を行う必要がでてまいります。現在、各法務局では長期相続登記未了地について調査を実施しております。恐らく今後も継続して調査をし、義務化された後は、随時裁判所等に過料を求める審判を求めていくものと思われます。

 

まとめ

今国会で相続登記の義務化が決議されました。長期にわたって相続登記を怠ると一度もあったことがない相続人と協議を行う必要があり、大変手間暇がかかります。相続が開始されましたら、後々の面倒を回避するため速やかに想像登記を行うことをお勧めいたします。

相続手続きにつき、疑問がございましたら神戸で開業しております北村司法書士事務所までお問い合わせいただければと存じます。

破産者がいる場合の遺産分割協議

2021-05-15

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、相続人の中に破産者がいる場合の遺産分割協議について記載したいと思います。

 

相続人の中に破産者がいる場合の遺産分割協議

遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。相続人に破産者がいる場合、破産者が遺産分割協議に参加できるかとの問題がございます。破産手続きでは、破産者の財産全部を債権額に応じて各債権者に分配する手続きです。破産手続きを行っている最中に破産者が自身の財産を自由に処分できるとすれば、債権者に分配できる財産が減少する可能性があることから認められておりません。破産手続きの中ではこのようなことを防止するため破産者の財産処分権を制限し、破産管財人が代わって財産の管理を行うことになっております。遺産分割協議は相続財産の最終的な帰属先を決める協議です。そこで、破産者が遺産分割協議に参加できるかどうかが問題となります。結論から言いますと相続開始時期が破産手続開始決定を受けた前か後かで変わってきます。

 

相続の開始が破産手続開始決定の前の場合

相続の開始が破産手続開始決定の前の場合の遺産分割協議について、法務省民事局の通達があります。破産手続きにおいて、破産者の財産の処分権が制限されるのは、破産手続開始決定の前の財産についてです。従って、法務省民事局の通達では、破産者は相続財産の処分権を失うため、代わりに破産管財人が遺産分割協議に参加することになります。なお、下記通達は相続登記を行うための手続きの過程で法務省に照会をかけた回答となりますので、登記実務の対応に沿った回答となっております。

 

不動産登記手続き

通常の相続登記のほか以下の書面が必要です。

・破産法第78条第2項の規定に基づく裁判所の許可証

・破産管財人の裁判所書記官発行の印鑑証明書

・破産管財人の選任証明書(発行の日から3ヵ月以内のもの)

※遺産分割協議書には、破産者に代わって破産管財人が実印で押印する必要があります。

 

平成22年8月24日 民二2078号通知

1 相続人の1人が相続開始後に破産手続開始決定を受けた後、相続財産について他の相続人から遺産の分割に関する処分の調停又は審判が申し立てられ、破産者である相続人は当事者とならず、その破産管財人が当事者となって調停が成立し、又は審判がされた事案について、その相続を原因とする所有権の移転の登記の申請には、相続を証する情報として、戸籍謄本等の一般的な相続を証する情報のほか、当該調停又は審判に係る調停調書又は審判書の正本の提供があれば足りる。

2 相続人の1人が相続開始後に破産手続開始決定を受けた後、破産者である相続人は当事者として参加せず、その破産管財人が破産法第78条第2項の規定に基づく裁判所の許可を得て、遺産の分割の協議に当事者として参加していた事案について、その遺産の分割の協議の結果に基づく相続を原因とする所有権の移転の登記の申請には、相続を証する情報として、戸籍謄本、遺産分割協議書(共同相続人(破産者である相続人を除く。)のほか、破産管財人の署名押印がされているもの)等の一般的な相続を証する情報のほか、当該裁判所の許可があったことを証する書面の提供があれば足りる。

 

相続の開始が破産手続開始決定の後の場合

相続の開始が破産手続開始決定の後の場合は、通常の相続手続きと変わりはありません。

破産手続開始決定後の破産者の財産は、破産者が自由に処分できる財産だからです。

 

まとめ

相続人に破産者がいる場合の遺産分割協議は、相続の開始が破産手続開始決定の前の場合は、破産管財人が破産者に代わって参加することになります。

相続人に破産者がいる場合はある程度専門知識を要しますので、お気軽にご相談いただければと存じます。

認知症の方がおられる場合の相続手続きについて

2021-01-16

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、認知症の方がおられる場合の相続手続きについて記載したいと思います。

相続が発生いたしますと故人の財産は、①遺言②遺産分割協議③法定相続の順番で各相続人に承継する財産が決まります。

相続人に認知症が患っておられる方がおられる場合は、手続きを進めるにあったって原則的に成年後見人を選任する必要がございます。もっとも成年後見制度は、認知症を患われた方の判断能力を衰えた方のサポートする制度でございますので、相続云々関係なく選任すべきとおもいますが。

 

成年後見制度とは

成年後見制度とは、意思能力が衰えたかたの意思能力を法的に支援するための制度で大きくは財産管理と身上監護に分けられます。財産管理とは、判断能力が衰えた方が詐欺から守ったり、ご本人がすこやかに生活できるよう本人に代わって本人の財産を管理する制度です。身上監護とは適切な介護サービス等を受けられるよう本人に代わって様々な契約を代理する制度です。いずれにしてもご本人の今後の生活をサポートし、健やかにすごせるような制度です。

 

成年後見人は、親族等が裁判所に申し立てて家庭裁判所の選任により就任いたします。期間は1ヶ月~6カ月程度かかります。後見人は申し立て時にこの人を候補者としてくださいということはできますが、裁判所はそれに縛られず自らの判断で選任いたします。仮に専門家を選任されますと毎月2万~5万程度の報酬が発生いたします。また、一度申し立てると自らの判断で取り下げることはできず、選任されると原則生涯辞めることができません。何故なら、成年後見制度はご本人の意思能力を一生涯にわたるサポートをするという制度で公益的な側面があるからです。

 

認知症の方がおられる場合の相続手続きについて

遺言がある場合

遺言がある場合は、遺言で指定したとおり財産が承継されます。つまりなんらの手続きもなく相続がされます。相続自体は成年後見制度を使用しなくともできます。しかしながら財産承継手続きは成年後見人がいないとできない可能性がございます。例えば、不動産登記の場合は、申請人(認知症の方が不動産を承継する場合)となることができるのは意思能力がある方だけだからです。司法書士が相続登記の依頼を受けると申請人となるかたの本人確認と意思確認を行うことが法律上、義務付けられておりますので、成年後見人を選任しなければ申請ができないこととなります。なお、認知症を患っていない方が申請人(財産承継人)となる場合は、成年後見人を選任しなくとも不動産の名義変更ができます。もっとも上記にも記載いたしましたが、相続手続きができるかとは関係なく成年後見人は選任すべきと考えますが

 

遺産分割協議

遺産分割協議は相続人の合意によって遺産の承継先を決める協議であるため、認知症を患っていらっしゃる場合は、成年後見人の選任が必ず必要となります。仮に成年後見人として相続人の一人が就任していた場合は、利益相反関係となりますので、特別代理人の選任を裁判所に申し出て、その人と遺産分割協議を行うことになります。成年後見人等は本人の利益を最大限確保しなければならないため、原則、最低でも法定相続分を確保することが求められております。よって、柔軟な遺産分割はできないことになります。

 

法定相続

遺言もなく遺産分割協議を行わない場合は、法定相続で各相続人が法律で定まった割合で遺産を承継することになります。この場合も成年後見人選任がなくとも相続ができることになります。しかしながら遺言と同様、財産承継手続きは成年後見人がいないとできない可能性がございます。不動産の名義変更は、認知症を患っておられない方が代表して全相続人の相続登記ができます。しかし、申請人とならない方には登記識別情報(昔の権利証)が発行されないという不利益があります。なぜなら登記識別情報は申請人にのみ発行されますので、認知症を患っておられる方は申請人になれず、発行されないこととなります。

 

まとめ

認知症を患っておられる方がいる場合の相続手続きについて記載いたしました。

少しでも疑問がございましたら何なりとお問合せいただければと存じます。成年後見制度も含めてご納得が得られるまで丁寧にお話させていただきます。

公正証書遺言と自筆証書遺言どちらを選んだほうがよいか

2020-12-02

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は公正証書遺言と自筆証書遺言どちらを選んだほうがよいかについいて記載したいと思います。

自筆証書遺言は簡便に作成できる一方、相続手続きをする際は家庭裁判所での検認が必要になる等問題がございました。この問題を解決するため、法務局に預かってもらえる制度ができました。これにより、家庭裁判所での検認が不要となり、自筆証書遺言が使いやすくなったように思えます。公正証書遺言と自筆証書遺言どちらがよいか悩まれる方も多いかと存じます。個人的な考えですが、法務局での保管制度ができたとしても公正証書遺言をお勧めいたします。

 

公正証書遺言をお勧めする理由

1.相続手続きが簡便

公正証書遺言をお勧めする最大の理由は、相続時に手続きが簡単なためです。法務局での自筆証書遺言保管制度ができて家庭裁判所での検認作業が不要となりましたが、法務局での手続きが意外に面倒です。

相続人が手続きするには、法定相続証明情報を添付できないときには被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍を添付する必要があります。(そもそも法定相続証明情報を作成するには、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍を添付する必要があるのでいずれにしても全ての戸籍を添付する必要があります。)

そもそも遺言作成のメリットとして、例えば在日外国人や帰化した方のように出生から死亡までの戸籍添付が困難な方がスムーズに財産を承継することができる点にあります。

被相続人の出生から死亡までの戸籍添付が必要な法務局での自筆証書遺言保管制度ではそのような遺言作成のメリットがありません。

一方、公正証書遺言の場合は、①相続人本人の身分証明書②被相続人の死亡証明書③被相続人と相続人の関係が記された証明書程度で足ります。

よって、相続時の手続きの簡便さから、遺言を作成するなら公正証書遺言のほうがお勧めです。

 

2.法律上問題ない遺言が作成される

公正証書遺言をお勧めするもう一つの理由として、法律のプロである公証人が遺言を作成していただけるため、問題ない遺言ができます。遺言は形式要件が定められており、その要件を満たさなければ無効になります。自筆証書遺言を作成されてもこの形式上の要件を満たしていない遺言書もそれなりにあり、せっかく遺言を作っても無効となる例も多くあります。法務局では、遺言作成の方法、内容については一切関与いたしません。その意味でもせっかく遺言を作成するならば、公正証書遺言がお勧めです。

 

 

まとめ

公正証書遺言と自筆証書遺言ですが、それぞれメリット、デメリットがあります。

個人的な意見ですが、せっかく遺言を作成するならば、公証人が関与する公正証書遺言がお勧めいたします。

いろいろとお悩みになられる方も多いかと思いますが、どのような些細なご質問でも真摯に対応いたしますので、ご不明な点、不安な点がございましたら、何なりとお問合せいただければと存じます。

相続財産の承継人と承継財産の決め方

2020-11-25

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は相続財産の承継人と承継財産についいて記載したいと思います。

 

相続の優先順位

亡くなった方の財産等は相続人に承継されます。誰にどの財産を引き継ぐかは下記のとおり優先順位が定められております。

 

1.遺言による指定

2.遺産分割協議

3.法定相続

 

法は故人の遺志を尊重する意味で遺言を最優先しております。どうしてもこの財産は配偶者に承継させたいとかあいつだけには財産は渡したくないということがあれば遺言を残しておく必要があります。

なお、相続人全員が合意すれば、遺言を残していても、遺言と異なる分割は可能です。

 

遺言についで優先されるものとして、遺産分割協議を挙げております。法は自由意志を尊重し全相続人が納得の上、話し合いで承継する財産が確定すれば円満に解決できるからです。

 

遺言がない、遺産分割協議で決められない場合に法定相続として予め法で定めた方法で遺産を誰にどの割合で承継させるかを決めております。

 

1.遺言による指定

遺言は主なものとして、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。

公正証書遺言は、公証人役場で公証人が作成いたします。法の専門家である公証人が作成いたしますので、形式面、内容面ともに問題ございません。デメリットとしては費用がかかる、証人が2人必要となるといった作成時の手続き面での多少の面倒さが挙げられます。

 

自筆証書遺言は、自分が自筆で書いた遺言です。公正証書遺言と違って作成時の手間はなく、特別な費用も不要ですが、下記のようなデメリットがあります。

・形式面での不備があれば遺言自体が無効となる。(遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければ無効となります。但し、財産目録はワープロ等で作成は認められます。

・遺言実行時に家庭裁判所での検認が必要

※自筆証書遺言を法務局に預けた場合は、家庭裁判所での検認は不要ですが、手続きはかなり面倒です。

 

上記のとおり自筆証書遺言は手軽に作成できますが、実行時の手続きはかなり面倒です。

 

2.遺産分割協議

遺産は相続人が全員合意の上、遺産分割協議で誰にどの財産を引き継ぐか決めることができます。遺産分割協議での注意点は相続人全員で行う必要があります。相続人の内、1人でも参加しなければ最悪やり直しの可能性もあります。特に、前妻の子供とか意図しない相続人がいらっしゃる場合もあり、戸籍等で確実に相続人を確定する必要ががります。

 

3.法定相続

遺言や遺産分割協議で定められていない財産については法定相続で遺産の承継先が決まります。

相続の順位は以下のとおりです。

 

第一順位 配偶者(1/2)、子(1/2)

第二順位 配偶者(2/3)、直系尊属(1/3)

第三順位 配偶者(3/4)、兄弟姉妹(1/4)

 

配偶者は常に相続人となります。子がいれば子と配偶者で相続人は確定します。

子がいなければ親と配偶者が、子、親がいなければ配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

 

 

相続人と相続財産の帰属先について一般論を記載いたしました。

相続人の確定は例外もいろいろあり、個別具体的な案件で判断する必要があります。

何か疑問があれば些細なことでも親身となってご回答申し上げます。

何なりとご相談いただければと思います。

代位相続の注意点

2020-10-03

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は代位相続相続の注意点について記載したいと思います。

 

代位相続とは?

代位相続とは、債権者等が相続人に代わって相続登記をする手続きのことをいいます。

被相続人が借金をして返済しないまま亡くなったとします。債権者は被相続人の不動産を差し押さえするためには、相続登記がされていることが手続き上、必要になります。

本来、相続登記は相続人から申請されます。しかしながら上記のような場合、相続人が自主的に相続登記をすることが考えられないため、債権者が代わって相続登記をすることが認められております。これを代位相続と呼びます。

 

代位相続登記の注意点

代位相続登記を行うに当たって注意すべき点は主に①書類が揃っていること、②スケジュールの2点です。

 

1.書類が揃っていること

相続人からの申請と違って書類が揃っていない場合、相続登記ができません。

特に注意を要するものとして、被相続人(故人)の住民票の除票が手に入るかどうかです。

相続登記は法律では被相続人(故人)の住所を証する書面の添付は求めておりませんが、法律には書かれていないにもかかわらず、法務局は被相続人の最後の住所地を証する書面の添付を求めてきます。

一般的に不動産登記では、登記簿記載の住所と住民票の住所地が一致しないと登記が受け付けられないことになっております。住所地が一致しない場合は、登記簿記載の住所から現在の住所地までの来歴が記載された住民票又は戸籍の附票を添付することになっております。相続登記の場合は保管期間や戦時中の空襲等により、被相続人の住民票の除票等が廃棄、紛失、滅失等がされていることがあります。

相続人からの申請の場合は、上申書や登記済証(権利証)の添付することで相続登記が可能です。しかし、代位相続登記の場合は、上申書や権利証等は当然添付できませんので、相続登記ができず、結果として差し押さえの手続きができなくなります。

裁判で債務名義を取得できたとしても相続登記ができないため、登記書類が入手できないと競売手続きができなくなりますので、注意が必要です。

 

2.スケジュール

代位相続で注意すべき点はスケジュールです。任売等のスケジュールが決まっていて差し押さえを急ぐケースもあると思いますが、最も注意すべき点は仮差押えの場合です。

仮差押えの場合、登記申請まで2週間以内に行うことが法律で決まっております。2週間以内に登記申請までできなければ、執行ができなくなります。

2週間以内に行う上で実務上最も阻害要因となっていることは、固定資産評価証明書の取得です。市町村がすんなり固定資産評価証明書を出してくれればいいのですが、なかにはなかな出してくれず、2週間以内に登記申請ができない場合があります。

固定資産評価証明書の発行根拠は地方税法第382条の3です。

この条項をもとに固定資産評価証明書の発行を求めて理解してくれない市区町村も多く取得に本当に苦労します。仮差押えや差し押さえを行うことを考えておられる方がおられましたら登記のことも考えて事前に固定資産評価証明書の取得を行うことをお勧めいたします。(固定資産評価証明書は民事訴訟を起こそうとする人は法律で取得権者として明文で規定されておりますので簡単に取得できます。)

遺産分割調停について

2020-09-26

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は遺産分割調停について記載したいと思います。

 

遺産分割調停とは

相続人間で遺産分割の合意できないときやそもそも協議自体ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。裁判所の「調停委員」が間に入って話し合い、調整をすることで、遺産分割問題の解決を図る手続きです。

 

主に遺産分割調停に適している状況として主に下記のような場合です。

・相続人間で遺産分割がなかなか合意できない場合

・他の相続人と連絡が取れない場合

 

調停前置主義とは

遺産分割を解決する裁判所の手続きとしては、調停手続きと審判手続きがあります。

調停手続きは一言で言えば話し合いで解決するプロセスに対して、審判手続きは裁判所が強制的に審判する(一般の裁判で言えば判決)ことで解決を図るプロセスです。

一般的に家事に関しては、調停前置主義が取られており、いきなり審判手続きを申し立てることはできませんが、遺産分割手続きについては調停前置主義をとっておらずいきなり審判手続きを申し立てることができます。

調停(話し合い)で解決する見込みが全くない場合は、審判手続きを申し立てることになりますが、まずは調停手続きを申し立てることが一般的です。

 

遺産分割調停の進め方

1.相手方と直接会うことは稀

遺産分割調停では調停委員が間に入って話し合いを進めてくれます。調停委員が各当事者に話を個別に希望を聞いて、調整してくれます。具体的には一例として各当事者毎に割り当てられた部屋で待機し順番が来たら調停委員と面談します。調停委員は一方の当事者の言い分を聞き、それが終わると別の当事者から言い分を聞き相手方の言い分を伝えるような方法で合意形成を図ってくれます。

 

2.月1回のペースで調停が行われます。

調停は概ね月1回のペースで行われます。案件にもよりますが、3~4回で終わることが多いです。

 

遺産分割調停で主に行うこと

遺産分割調停で主に行うことは主に以下のことが行われます。

・相続人の特定

・分割する遺産の確定

・遺産の評価

・分割方法の決定

 

不動産や未上場株式等で遺産の評価画像別れるものについては、相続人が全員合意しているのであれば、その額をベースに調停が行われることとなります。合意ができない場合は、鑑定が行われることになります。鑑定費用は原則として推定相続人が按分で負担することになります。

 

遺産分割調停の申し立て手続き

1.申し立てることができる人

申し立て権者は相続人と受遺者です。相手方は他の相続人全員です。

 

2.管轄

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意した家庭裁判所です。相手方が複数いた場合は、そのうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。

 

3.必要書類

必要書類は相続人の状況によって変わりますが標準的な書類は以下のとおりです。

・申立書1通及び相手方の人数分の写し(当事者目録、遺産目録、相続関係図を含む)

・事情説明書

・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の住民票又は戸籍の附票

・遺産に関する証明書(固定資産評価証明書や不動産登記簿謄本、預貯金通帳の写し等)

 

4.申し立てに必要な費用

・被相続人1人につき収入印紙1200円分

・予納郵券(必要な郵券は各裁判所によって異なります。)

 

遺産分割調停の終了

1.遺産分割調停がまとまった場合

当事者の合意が成立した場合は、調停調書が作成されます。これは確定した判決と同一の効力を持つため、仮に合意を履行しない方がいた場合は強制執行をすることができます。

 

2.遺産分割調停が不調となった場合

当事者で合意が成立する見込みがない場合等には、裁判所は調停不調として終了させることができます。調停が不調となった場合は、当然に審判手続きに移行することになりますので別途裁判所に審判手続きを申し立てることは必要ありません。

 

 

遺産分割調停は、遺産分割の方法がまとまらない場合それを解決する上で有効な手続きです。申し立て費用も比較的安く、気軽に利用できますので、遺産分割の合意ができない、話し合いができない場合は一度利用をご検討していただければと思います。

戸籍等が滅失・廃棄している場合の相続登記

2020-09-23

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は相続登記を行う際、保管期間経過、戦時中の空襲等で滅失・廃棄していた場合の相続登記について記載したいと思います。

 

従来の戸籍等がない場合の相続登記について

相続登記は従来、被相続人の出生から死亡までの戸籍が原則、全て必要でした。被相続人の戸籍が全て揃わない場合、法定相続人の実印で「相続人は他にいない」旨の上申書等を作成し、それを印鑑証明書で証明する必要がありました。

法定相続人全員から実印の押印ができる場合は、問題なく相続登記ができますが、全員から実印をもらえない場合は、相続登記ができませんでした。

特に、債権者が差し押さえをするために債権者代位権を用いて相続登記を入れることができないという問題がありました。登記実務として差し押さえを入れるためには現在の所有者に所有権移転登記を入れる必要があり、相続登記ができないと差し押さえが出来ず、その先の競売手続きができないため債権回収が困難となる問題がありました。このような場合、当然相続人全員から実印の押印をいただくことは事実上できず、経済活動に支障をきたしておりました。

 

法務省通達による改善点

このような事態に対処するため、法務省は平成28年3月11日通達を出しました。その概要は、滅失・廃棄していて戸籍等を提出できない場合は「戸籍等が交付することができない」旨の市区町村長の証明書を提出することで相続登記を認める旨の通達を出しました。

これにより、債権者等が債権者代位権を用いた相続登記がスムーズに行われることができるようになりました。

なお、被相続人の住所が公的証明書で証明できない場合は依然として相続登記が困難であるという問題が残っております。この点についても法務省に改善をご検討していただきたいと思います。

 

 

相続税の簡単な計算方法

2020-08-22

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

相続税がかかるかどうかの簡単な方法を記載させていただきました。

本日は、相続税の簡単な計算方法を記載させていただきます。

 

相続税の算出手順

相続税の算出は下記4つのステップを踏んで計算されます。

1.正味の遺産額の算出

2.課税遺産総額の算出

3.相続税の総額の算出

4.各人の相続税の算出

 

具体的な事例をもとに相続税の計算方法を解説いたします。

 

事例

・相続人:妻、長男、長女

・プラスの相続財産の総額:1億6000万円

・マイナスの相続財産(借金):1000万円

・遺産の分配  

    妻:9000万円 

    長男:4500万円

    長女:1500万円

 

1.正味の遺産額の算出

正味の遺産額は、プラスの相続財産の総額からマイナスの相続財産を引いた額になります。

よって、1億6000万円-1000万円=1億5000万円 となります。

 

2.課税遺産総額の算出

課税遺産総額は正味の遺産額から基礎控除額を引いた額になります。

基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数となります。

上記の事例の基礎控除額は、3000万円+600万円×3人=4800万円

よって、課税遺産総額は以下の通りとなります。

1億5000万円-4800万円=1億200万円

 

3.相続税の総額の算出

課税遺産総額を法定相続で分割したものとして仮の相続税を算出いたします。

なお、法定相続分は妻1/2、長男1/4、長女1/4です。

 

妻の分の計算:1億200万円×1/2=5100万円

長男の分の計算:1億200万円×1/4=2550万円

長女の分の計算:1億200万円×1/4=2550万円

 

これを下記相続税の速算表を用いて相続税の総額を算出いたします。

 

妻の分:5100万円×30%-700万円=830万円

長男の分:2550万円×15%-50万円=332万5000円

長女の分:2550万円×15%-50万円=332万5000円

合計:830万円+332万5000円+332万5000円=1495万円

よって、相続税の総額は1495万円となります。

 

 

  • 相続税の速算表

課税価格

税率

控除額

1000万円以下

10%

3000万円以下

15%

50万円

5000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1700万円

3億円以下

45%

2700万円

6億円以下

50%

4200万円

6億円超

55%

7200万円

 

 

4.各人の相続税の算出

3で算出した相続税の総額を実際に分配する割合で按分した額が各人が納税する相続税となります。

 

妻の相続税額:1495万円×9000万円/1億5000万円=897万円

長男の相続税額:1495万円×4500万円/1億5000万円=448万5000円

長女の相続税額:1495万円×1500万円/1億5000万円=149万5000円

 

なお、配偶者には配偶者控除(法定相続分または1億6000万円までのいずれか多い額)がありますので、上記事例の場合妻の納税額は0円となります。

 

よって上記事例の納税額は以下のとおりとなります。

 

妻:0円

長男:448万5000円

長女:149万5000円

 

以上、簡単な相続税の計算方法を記載いたしました。

皆様のご参考としていただければと思います。

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