Archive for the ‘登記手続’ Category

診療報酬債権への担保設定

2021-03-20

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、診療報酬債権への担保設定について記載したいと思います。

 

診療報酬債権とは

一般の方が病院等で診療を受けると窓口では3割の費用を支払います。病院等の医療機関は残りの7割の診療費を国民健康保険連合会等から支払いを受けることになります。医療機関は被保険者が窓口で支払った額以外の診療費を翌月10日までに国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金にレセプトを示して請求することになります。請求を受けた国民健康保険団体連合会等は2~3カ月程度後に医療機関に対して支払いを行います。医療機関に融資する金融機関等にとってみれば、2~3カ月後に国民健康保険団体連合会等の信用度が極めて高い機関から確実に支払いをうけられることになるので担保物から確実に回収できるため、大変好まれて利用されております。

 

診療報酬債権の担保設定

診療報酬債権は債権なので、抵当権等を設定することができません。債権担保として設定が許されているものとして質権と譲渡担保が挙げられます。実務上は譲渡担保が利用されることが多いです。質権でも譲渡担保でも実効について便宜が図られております。質権の場合は第三債務者から被担保債権の額に応じた部分に限り、執行手続きによらず直接取り立てることができます。債権譲渡担保は明文上の規定はありませんが判例等で第三債務者から直接取り立てることが認められております。債権質と違って担保物から全額を取り立てることができ、被担保債権を上回った分はその分を清算金として債務者に支払えばよいということになっております。

債権質、譲渡担保共に個別の債権のほか集合債権も担保に取ることが認められております。集合債権譲渡担保の場合、明確性の観点から判例では発生原因だけでなく始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきであるとされております。

 

第三者対抗要件について

債権質も債権譲渡担保の第三者対抗要件は原則として、債務者から第三債務者に対して確定日付がある通知を送ってもらうか確定日付がある第三債務者からの承諾が必要となります。しかし、診療報酬債権の場合の第三債務者は国民健康保険団体連合会等の機関となります。国民健康保険団体連合会は都道府県に1団体、計47団体設立されておりますため、大変数が多く手間がかかります。また、債務者から送付してもらう必要があり、債権者からすると不安になると思います。

そこで、よく利用されているのが債権譲渡登記です。債権質も債権譲渡も債務者が法人であれば利用できます。なお、債務者が個人事業主の場合は登記は利用でません。

債権譲渡登記は登記所に保管されている債権譲渡登記ファイルに登記すれば、第三者に対して対抗力を付与するものです。第三債務者へは債権者から登記事項証明書を送付すればよいとされておりますので、現実に担保を実行する段階で債権者から送付すればよいので大変簡便に対抗要件を備えることができます。

なお、債権譲渡登記は第三債務者が不特定の将来債権についても債権の発生原因を具体的に記載すること、始期、終期を記載することで登記することができます。

 

診療報酬債権の担保設定をお考えでございましたら、神戸市中央区で開業しております北村司法書士事務所へ何なりとお問い合わせいただければと存じます。

 

銀行が合併した場合の抵当権抹消

2020-12-23

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、銀行が合併した場合の抵当権抹消手続きについて記載したいと思います。

抵当権抹消登記を申請する際、抵当権権者である銀行等が合併した場合は、注意が必要となります。

 

銀行が合併した場合の抵当権抹消登記申請の原則

登記申請は、登記名義人が登記簿記載の記載事項と異なる場合は原則として現在の状態まで変更することが必要となります。例えば、登記簿記載の住所がA市であるが、その後住所変更でB市となった場合は、原則としてB市に住所変更登記をしなければ、登記申請を受け付けてもらえません。

抵当権抹消登記もこの原則に照らせば、抵当権者である銀行等が合併していた場合は、合併登記を経なければ抵当権抹消登記を受け付けてもらえません。しかしながら、銀行等が当事者となっているからなのか不明ですが、法務局は通常の場合より便宜を図っており、簡便に手続きをできるように図っております。以下、場合分けをして具体的な手続きについて記載したいと思います。

 

1.ローン完済前に銀行に銀行が合併していた場合

この場合は、登記簿記載の銀行が合併存続会社となっているか、消滅会社となっているかで対応が異なります。

①登記簿記載の銀行が合併存続会社となっている場合

この場合は、登記簿記載の商号や本店所在地が現在の商号、本店所在地と一致していれば、前提登記は不要で、直接、抵当権抹消登記を申請できます。

現在の商号、本店所在地と異なっていた場合は、原則、商号・本店変更登記が必要ですが、銀行が当事者となることが多いためかどうかわかりませんが、登記簿記載の商号・本店から現在の商号・本店までの変更来歴がわかる登記事項証明書を添付すれば、前提登記なしで直接、抵当権抹消登記を申請できます。

 

②登記簿記載の銀行が消滅会社となっている場合

この場合は、原則どおり抵当権者の合併登記を申請する必要があります。

この合併登記に際していくつか注意点がありますので、下記をご参考としていただければと思います。

(1)合併登記では合併の来歴が記載されてある登記事項証明書を添付することが必要となります。一部の銀行では登記事項証明書ではなく会社法人等番号のみ知らせてくる銀行があります。会社法人等番号を提供すれば登記事項証明書の添付不要との特例があり、この制度を使って申請してくれとのことなのですが、これは現在の登記簿で確認できることが前提となっております。合併登記の記載は、3年が経過すると閉鎖事項に追いやられます。(法務省には改善を要求したいです。)よって、銀行等からは閉鎖事項証明書をもらっておいたほうが無難です。

 

(2)三井住友銀行、みずほ銀行には注意

三井住友銀行は、実は2003年にわかしお銀行に合併され消滅しております。現在の三井住友銀行はわかしお銀行が商号、本店変更登記した形となっております。そのため、2003年以前に三井住友銀行から融資を受けた場合は、一度わかしお銀行に抵当権移転登記をした後でないと抹消できませんので、注意が必要です。

 

同様にみずほ銀行はみずほコーポレート銀行に2013年吸収合併され、消滅しております。三井住友銀行と同様に2013年以前に融資を受けた場合は抵当権移転登記をした後でないと抹消できませんので、注意が必要です。

 

2.ローン完済後に銀行に銀行が合併していた場合

この場合は、大幅に便宜を図って直接抵当権抹消登記を申請できます。通常の添付書面と異なる点として、現在の権利承継者までの来歴が記載された登記事項証明書を添付することが必要となります。(日本政策金融公庫や日本政策投資銀行のように法律で承継された銀行は添付不要です。)

 

まとめ

銀行の合併に伴う抵当権抹消登記は、ローン完済時期によって登記申請の方法が異なってきます。ご不明な点がございましたら何なりとお問合せいただければと存じます。

自動車を動産譲渡登記できるか?

2020-12-19

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、自動車を動産譲渡登記できるかについて記載したいと思います。

 

自動車を動産譲渡登記できるか?

自動車を動産譲渡登記をして、借入を行いたいとの要望が多いです。

自動車については、原則として動産譲渡ができません。その理由としては、自動車には対抗要件に関する特別法が存在するからです。(道路運送車両法第5条1項)動産譲渡登記は民法178条の対抗要件を代替するものです。自動車登録がされた自動車は特別法である道路運送車両法が一般法である民法に優先されるため、民法所定の対抗要件を具備しても効力が認められない扱いとなっております。

 

道路運送車両法第5条1項

第五条 登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。

 前項の規定は、自動車抵当法(昭和二十六年法律第百八十七号)第二条但書に規定する大型特殊自動車については、適用しない。

 

未登録自動車は動産譲渡登記できるか?

登録された自動車は動産譲渡登記ができないことを述べました。一方で未登録自動車は動産譲渡登記できるかとの疑問がでてくるかと思います。結論から言えば、未登録自動車は動産譲渡登記できます。未登録とは一度も登録されていない自動車はもちろん登録が抹消された自動車も含みます。この場合登記は、動産の種類を「未登録自動車」として行うことが一般的です。その理由として単に「自動車」とすると登録している自動車と区別ができず、第三者対抗要件を具備する動産譲渡登記では、第三者からみて登記の効力を有するかわかりにくいからです。また、法務局も単に「自動車」とすると第三者からみてわかりにくいとの理由を挙げ、修正を求めてきます。動産譲渡登記は補正を認めておりませんので、トラブルを避けるためにも「未登録自動車」等としてわかるような記載で登記することをお勧めいたします。

 

軽自動車を動産譲渡登記できるか?

道路運送車両法第4条の登録は、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車は除かれております。そこで、軽自動車等は動産譲渡登記ができるか疑問がわいてくるかと思います。軽自動車等は登録が対抗要件となっておりませんので、一般の動産と同様民法178条で定められる引き渡しが対抗要件となっております。よって、軽自動車も未登録自動車と同様に動産譲渡登記の対象となります。

 

まとめ

自動車は原則として動産譲渡登記の対象となりません。

但し、特別法による規定がない下記の自動車は動産譲渡登記の対象となります。

・未登録自動車

・軽自動車等

 

自動車に限らず、動産譲渡登記の対象となるかどうかはある程度経験が必要となります。思わぬところで登記ができないということもありますので、判断に迷われましたら、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。

同一人間の順位変更登記

2020-11-18

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は同一人間の順位変更について記載いたします。

 

同一当事者の場合の順位変更登記の記載例

まず、同一当事者間の順位変更登記ができるかとの問題がございます。

結論からいいますと可能です。

他社間の順位変更登記と同一当事者の順位変更登記では、申請書の一部の記載が異なります。具体的には下記のとおりです。

 

他社間の順位変更登記の記載例

 

登記の目的 〇番△番順位変更

登記の原因 令和〇年〇月〇日 合意

・・・・

 

同一当事者間の順位変更登記の記載例

 

登記の目的 〇番△番順位変更

登記の原因 令和〇年〇月〇日 変更

 

登記の原因欄が他社間ですと「合意」、同一当事者の場合は「変更」と記載いたします。同一当事者の場合は、1人で「合意」することはないので実体に合わせて「変更」とすることにしています。うっかり間違いやすい項目なので注意が必要です。

 

同一当事者で順位変更することのメリット

同一当事者の場合、順位変更しようがしまいが、不動産競売によって受けられる配当に差はないため、同一当事者の場合、順位変更登記するメリットがあるのかと疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

 

LBOファイナンスやプロジェクトファイナンスでは大規模な融資となることも多く、目的にあわせて融資も区別しております。それにあわせて複数の担保権を設定することも多いです。

 

また、融資額も多く、1つの銀行の融資枠を超えることも多く、協調融資(シンジケートローン)で行うことも多いです。シンジケートローンでは、当初、エージェント行のみで融資を実行し、その後、他行へ割当額に応じた債権譲渡することが実務上、多く行われております。他行へ債権を売るさい、各担保の順位が異なっていた場合は、後順位の担保権は売ることが難しくなります。そこで、順位変更登記を実施し、同順位の担保権とする必要性がでてまいります。

 

まとめ

順位変更登記はいろいろと気を付ける点が多いです。同一当事者で順位変更を行う場合と他社間で順位変更登記を行う場合では登記の記載文言が異なります。登記は記載文言が異なると取り下げざるを得ない状況となり、担保登記としては失敗となります。(融資に関する登記の場合は、やり直しを認めてくれることは稀で、場合によっては損害賠償の対象となります。)

順位変更登記を行う際は、司法書士として最大限の注意をもって行う必要があります。

順位変更登記について

2020-11-14

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日はシンジケートローン(不動産登記)で司法書士が最も神経を使う順位変更登記についいて記載したいと思います。

前回、個別同順位で担保権を設定できない例として抵当権仮登記と根抵当権仮登記を同時に設定する場合を挙げました。このような登記はシンジケートローンではよくあります。

この場合は、否応でも順位変更登記が必要になります。司法書士にとって、最も、神経を使うことになります。まず順位変更登記について記載したいと思います。

 

順位変更登記とは?

順位変更登記とは、登記されている担保権(仮登記を含む抵当権、根抵当権、質権等)の順位を当事者の合意で変更する登記をいいます。

例えば、下記の例でみます

 

1番 抵当権仮登記 抵当権者 A銀行

2番 根抵当権仮登記 抵当権者 B銀行

 

この場合は、A銀行とB銀行が同順位で合意した場合、A銀行、B銀行共に順位1番の担保権とすることができます。

申請書には以下のとおり記載いたします。

 

「1番 抵当権仮登記 2番根抵当権仮登記 順位変更」と登記の目的を記載し、「変更後の順位 第1 抵当権仮登記 2番根抵当権仮登記」と記載いたします。

この申請書の記載方法が司法書士にとってもっとも緊張を要する原因(銀行からも記載方法についてよく質問を受けます。)となっております。

この「1番」、「2番」は実質順位ではなく登記簿に記載された順位を記載いたします。

例えば 

1番 地上権設定 地上権者 C

2番 抵当権仮登記 抵当権者 A銀行

3番 根抵当権仮登記 抵当権者 B銀行

 

の場合は、「2番 抵当権仮登記 3番根抵当権仮登記 順位変更」等と記載いたします。

 

順位変更登記の注意点

1.順位番号の指定

順位変更登記で司法書士が最も緊張する要因の最大の理由は順位の記載方法にあります。

登記簿に記載された順番を記載するだけではないかと思われますが、以下の理由から順位番号の特定が大変厄介なものとなっております。

 

①共有名義となっている不動産の場合

例えばマンションの共用部分となっている不動産では複数の人が所有権を共有しております。この場合、全く別の人が関係ないところで登記を入れれば申請書等に記載する順位が変わり順位変更登記を入れれば、登記が困難になります。

 

たったこれだけの理由で登記が困難な理由としては、順位変更登記に必要な登記原因証明情報の押印は大抵の場合は銀行となるところにあります。銀行の場合は、捨て印をくれないこともあり、順位を入れた場合は当日の申請が困難になり、登記ができないこともあり得ます。(銀行には順位番号空欄で案内することにしておりますが、シンジケートローンでは対象が多く、当日登記簿を事前閲覧してから入れたのでは、肝心の登記申請に間に合わない可能性があります。また、当日記載しても、申請までどうしてもタイムラグがあるため、その間にまったく関係ない登記が入れられる可能性も否定できません。かつて勤めていた事務所でそのようなことがあったと聞いたことがあるため、かなり緊張を強いられることになります。)

なお、銀行関係の場合は、仮に上記のようなことがあったとしても取り下げて後日、出しなおすことは認められないことが多く(対抗要件の取得日が遅れるため)、場合によっては損害賠償(シンジケートローンでは融資が数100億円レベルであり、損害保険では賄えないため、人生が終わります。)を求められる可能性があるため、大変緊張いたします。

 

②登記簿記載の知識が必要

順位変更登記は既登記済みの登記ではなく、新規に設定することが多いです。そのため、登記簿に記載される順位を正確に予測する必要があります。

例えば地上権に対する担保権だった場合は、主登記ではなく付記登記で登記されます。抹消は主登記で入り、移転登記は原則として付記登記ではいります。

このように登記簿記載の知識が必要であるため、登記番号を正確に予測し、登記申請の順番等を正しく組み立てる必要があります。

 

2.原因日付について

順位変更登記で司法書士が最も緊張する2番目の理由原因日付にあります。他の登記と違って合意日ではなく原則的に登記申請日となります。順位変更は既存の登記を変更することを建前としている以上、登記されていない担保権の変更について合意できないとの理屈をとっております。よって新規に担保権を設定すると同時に順位変更する場合は、登記申請日を合意日に記載する必要があります。

うっかり他の登記と同じ日付とする誤りを犯しやすいので、注意が必要です。

 

まとめ

順位変更登記は誤りやすいポイントがたくさんあります。

当事務所ではたくさんの事例を扱っており、融資による担保登記について様々な経験とノウハウがございます。複雑な担保登記で迅速に登記を行いたいとお考えの場合は、一度ご相談いただければ幸いです。

シンジケートローン(不動産登記)で担保権を個別同順で登記する方法

2020-11-11

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日はシンジケートローン(不動産登記)で抵当権の担保権を個別同順位で登記する方法について記載いたします。

 

個別同順位登記の必要性

シンジケートローンでは、複数の銀行や保険会社等が複数の担保権を設定することが一般的です。担保登記の主な目的は、第三者対抗要件を備えることにあります。担保権の場合は、特別に順位という概念があり、例えば、A銀行、B銀行がそれぞれ1000万円、500万円融資し、順位1番でA銀行、2番でB銀行が抵当権を設定したといたします。

 

乙区(抜粋)

1番 抵当権設定 令和〇年〇月〇日受付第○○号 

         抵当権者 A銀行 債権額 1000万円

2番 抵当権設定 令和〇年〇月〇日受付第△△号 

         抵当権者 B銀行 債権額 500万円

 

上記場合に、債務者が1円も返済せずに返済を滞らせた場合、抵当権者は抵当権の対象とした不動産を競売にかけて、売却代金から他の債権者に優先して、配当を受けることができます。

仮に不動産の売却額が1200万円の場合、1番抵当権者であるA銀行は売却代金から1000万円の弁済を受けられるのに対してB銀行は200万円しか優先弁済が受けられません。残りの残債の300万円は他の債権者と同様に債務者の別の資産から平等配当となり、債権全額の弁済を得られない可能性があります。

このような不都合を回避するため、シンジケートローンではA銀行、B銀行共に同順位として1番抵当を設定することが一般的です。なお、同順位設定した場合、上記例ですと

A銀行の優先弁済が受けられる額は 1200万×1000万/1500万=800万円

A銀行の優先弁済が受けられる額は 1200万×500万/1500万=400万円 となります。

 

個別同順位登記の方法

不動産登記では、上記実務上の要請に応えるため、設定時にいきなり同順で設定する方法を用意しております。条件としては、設定する不動産が共通である必要があります。共通でない場合は後述いたします。

 

その方法としては、上記例の場合は申請書に「同順位 1/2」「同順位 2/2」と記載するだけです。

こうするだけで同順位設定してもらえます。

記載例(抜粋)としては、以下の通りとなります。

 

1番(あ) 抵当権設定 令和〇年〇月〇日受付第○○号(あ) 

         抵当権者 A銀行 債権額 1000万円

1番(い) 抵当権設定 令和〇年〇月〇日受付第○○号(い)

         抵当権者 B銀行 債権額 500万円

 

見分け方としては、受付番号が同じということです。受付番号の後に(あ)(い)という振り合いで登記されます。

 

不動産登記法

(受付)

第十九条 登記官は、前条の規定により申請情報が登記所に提供されたときは、法務省令で定めるところにより、当該申請情報に係る登記の申請の受付をしなければならない。

2 同一の不動産に関し二以上の申請がされた場合において、その前後が明らかでないときは、これらの申請は、同時にされたものとみなす。

3 登記官は、申請の受付をしたときは、当該申請に受付番号を付さなければならない。この場合において、同一の不動産に関し同時に二以上の申請がされたとき(前項の規定により同時にされたものとみなされるときを含む。)は、同一の受付番号を付するものとする。

 

担保対象不動産が異なる場合の同順位登記の方法

担保対象不動産が異なる場合は不動産登記法第19条によう、上記の簡便な方法がとれません。この場合は、一旦、別順位で登記し、登記後、事後的に順位変更登記を申請する必要があります。順位変更登記はシンジケートローンでは司法書が最も神経を使う登記で、非常に大変となります。

 

シンジケートローンにおける担保対象不動産が異なる場合の代表例

シンジケートローンにおいて、担保対象不動産が異なる例として最も多いケースとして根抵当権仮登記と抵当権設定仮登記がある場合です。(コミットメントラインやタームローンがある場合は、通常、このようなことになります。)

登記実務では、根抵当権と抵当権の仮登記はかなり異なった対応となっております。

抵当権仮登記の場合は、不動産が複数でも1の申請で全て申請できるのに対して根抵当権仮登記の場合は、1の申請で全ての申請ができません。このため、不動産が100筆あれば根抵当権仮登記は100件申請しなければなりません。

これは、抵当権の共同担保は契約によって効力が発生するのに対して、根抵当権の共同担保は登記が効力要件となっているためです。仮登記は、本登記して初めて登記の効力が認められるため、登記実務はこれに忠実に守るため、仮登記の場合は共同担保設定は認めておりません。これにより、不動産が複数あった場合は、不動産1筆毎に個別担保を設定登記するよう求めております。

上記理屈により、担保対象不動産が共通であったとしても抵当権仮登記と根抵当権仮登記があった場合は、設定時から個別同順位設定登記が認められないことになり、順位変更登記を行う必要性が出てまいります。

このことは、普段、シンジケートローンなどをたくさん行っている銀行担当者でもご存じの方が少なく、毎回、登記するに当たって説明を求められることが多いです。

 

まとめ

登記実務は理不尽なことも多く、個別案件によって異なる対応が求められることもしばしばあります。シンジケートローンに関しては、当事務所は数多くの経験を有しております。

ご不明な点がございましたら些細なことでも真摯に応えさせていただきますので何なりとお問い合わせいただければと存じます。

 

建物の登記要件

2020-10-31

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は建物の登記要件を記載したいと思います。

建物は全て登記できるわけではありません。不動産登記法上、建物と認められた建物のみ登記が認められることになります。

 

建物の登記要件

不動産登記可能な建物の要件は下記のとおりです。

①定着性

②外気分断性

③用途性

 

①定着性とは?

定着性とは建物が土地に固着していることが必要となります。これは単に土地に定着しているだけではなく、永続的に使用できるものとなっていなければなりません。例えば、組み立て式の物置等は永続的に使用できるものではありませんので、登記ができません。

定着性の要件を満たしているかどうかの一つの判断基準として、基礎等が施されているかどうかが目安となります。なお、仮設住宅や作業員の宿泊施設等は基礎が施されていますが、目的が達成すれば解体されますので、永続性の観点から登記できません。

 

②外気分断性とは?

外気分断性とは簡単に言えば壁で囲まれていることかつ屋根があることです。例えば解放されている牛舎等は壁で囲まれておりませんので、登記ができません。

 

③用途性とは?

用途性を簡単に説明するのは難しいですが、一言でいえば人が滞在できるかどうかが一つの判断基準となります。例えばガスタンクは、人が中に入ることを想定しておりませんので、建物登記ができないことになります。

 

 

以上、建物として登記できる要件を記載いたしました。上記はあくまで基準でありますので、上記要件に当てはまっても建物として登記できる場合があります。判断に迷われましたらお近くの土地家屋調査士にご相談いただければ思います。

 

民事再生会社での債権・動産抹消登記

2020-10-21

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

先日は民事再生会社での債権・動産譲渡登記について記載いたしましたが、本日は債権・動産抹消登記について記載したいと思います。

 

民事再生会社での債権・動産抹消登記

民事再生会社において債権・動産抹消登記のポイントは監督委員の同意書が必要がどうかです。結論から申し上げますと担保設定時期が民事再生会社となる前後で扱いが異なることになります。

これは、監督委員の同意事項と関係しております。

監督委員の同意事項として裁判所が必要と考える事項の1つとして「別除権の目的財産の受け戻し」があります。一般的に「別除権の受け戻し」を同意事項として含まなければ裁判所は民事再生を認めないことが多く、このことが監督委員の同意書の有無にかかわってきます。

 

まず別除権とは何かを記載いたします。

別除権とは簡単に言いますと民事再生会社となる前に設定した担保権のことです。

民事再生会社となった後でも民事再生会社となる前に設定した担保権者は自由に担保権を実行し、その担保権の範囲内で優先弁済を受けることができます。

 

別除権の目的財産受け戻しとは、別除権の対象となる担保物件を債務者の手に取り戻すことを言います。例えば、担保権者から借りたお金を返済して、設定した債権譲渡担保を解除し、債権を債務者の手に取り戻すことを指します。

この場合は、担保権者から目的物たる債権を買い戻すことにもなるので、引当財産の減少となる可能性があり、他の債権者に影響を与えることになるので裁判所はこの別除権の目的財産受け戻しを行う際は、監督委員の同意を取るべしと考えているものと思われます。

このことから、民事再生会社となる前に設定した譲渡担保権を抹消登記する際は、監督委員の同意書の添付が求められます。

反対に民事再生会社となった後に設定した譲渡担保権は別除権を構成しませんので、一般的には監督委員の同意書は不要となります。

実際は、監督委員の同意事項を確認し、適切な方法で登記する必要がでてまいります。

 

民事再生会社での債権・動産譲渡登記について当事務所は豊富な経験を有しており、様々な実務課題に対してノウハウを有しております。民事再生会社の登記に関してお困りの方がいらっしゃいましたら、何なりとご相談いただければと存じます。

 

 

民事再生会社での債権・動産譲渡登記

2020-10-17

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、民事再生会社での債権・動産譲渡登記について記載したいと思います。

 

民事再生会社での債権・動産譲渡登記

民事再生会社においてつなぎ資金として債権・動産に譲渡担保権を設定して、資金を得ることが度々行われております。融資の前提として債権・動産譲渡登記を行うことが求められます。そこで、民事再生会社における債権・動産譲渡登記の手続きについて記載いたします。

 

民事再生会社での債権・動産譲渡登記の必要書類と注意点

民事再生会社における債権・動産譲渡登記の必要書類は以下のとおりです。

・譲渡人の会社謄本

・譲渡人の印鑑証明書

・監督委員の同意書

・譲受人の会社謄本

 

1.監督委員の同意書

上記のうち、民事再生会社で特有なものは監督委員の同意書です。

これは、民事再生会社には監督委員の同意が必要なものについては、代表権が制限されるため、代表者の権限を証明するものとして添付が要求されます。

なお、監督委員の印鑑証明書は債権・動産譲渡登記では不要です。

※不動産登記や商業登記では監督委員の印鑑証明書の添付は必要です。不動産登記では、監督委員の同意書が代表者の資格証明ではなく第三者の許可・同意に当たる書面として扱われることからくるものです。不動産登記では、第三者の許可・同意に当たる書面には実印と印鑑証明書を添付する扱いなので添付が求められます。不動産登記や商業登記と債権・動産譲渡登記では考え方が異なるので注意が必要です。

 

監督委員の同意に必要な項目は以下のとおりです。

・融資を受けること

・譲渡担保権を設定すること

・登記を行うこと

・登記内容が記載されていること

 

これらが網羅的に記載されていれば問題ありませんが、何か一つでも欠けると法務局と相談することになり、最悪登記ができずつなぎ融資も受けられなくなります。

一番簡便な方法としては、監督委員は以下の通り同意するとして、①融資を受けること②担保権を設定し、登記をすること③具体的な内容は添付のとおり等として、担保契約と合綴・契印する方法です。

かなり以前までは、登記内容まで求められておりませんでしたが、最近は登記内容について記載されていることまで求められております。(特に動産登録課が厳しいとの印象ですが、登記官が人事異動等で変わると取り扱いが変わる可能性があります。)

 

2.会社謄本の注意点

民事再生はいくつかのプロセスで行われるため、非常に時間がかかります。申し立てから会社謄本に民事再生に関する記載が載るまで時間がかかります。

民事再生の申し立てから会社謄本に記載されるまで、登記を申請する場合は、民事再生の記載が載っている会社謄本が添付できないため問題となります。

この場合は再生手続開始決定書等で民事再生会社であることを証明する必要があります。

なお、債権・動産譲渡登記では添付書類は原本還付できませんので、注意が必要です。

 

 

まとめ

民意再生会社における債権・動産譲渡登記の注意点について記載いたしました。民事再生会社では通常の債権・動産譲渡登記と比較して専門的な知識が必要となります。債権・動産譲渡登記を利用する場合は計画的に行う必要があります。債権・動産譲渡登記でお困りのことがあれば何なりとお問合せいただければと思います。

 

債権・動産譲渡登記で個別同順位で登記する方法

2020-10-14

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、債権・動産譲渡登記で個別同順位設定する方法を記載したいと思います。

 

債権・動産譲渡登記で個別同順位設定する方法

不動産登記で抵当権や質権設定登記では、個別同順位で登記することが認められております。債権・動産譲渡登記において法務局は、順位という概念を認めておりません。

債権譲渡や動産譲渡した時点で権利は既に移っており、複数の担保権を個別で設定することを認めておりません。先に対抗要件を取得したものが全ての権利を得ることになります。

債権者間で担保権を共有する場合は、譲渡担保を準共有する形で設定することがオーソドックスな方法です。

しかしながら、債権質権設定等でどうしても個別同順で設定したい場合もあるかと思います。法務局は公には順位という概念を認めておりませんが、結果的に同順位設定したものと同様の効果をもたらす方法があります。

その申請方法が郵送による申請を行った場合です。

その根拠は動産・債権譲渡登記令第9条、第10条にあります。登記は第三者に対する対抗要件を具備するものです。郵送による到着時間の前後の不公平をなくすための便宜上の措置でこのような制度にしたものと推測できますが、結果としてこの制度を利用すれば、個別同順位設定したものと同等の効力を得ることができます。

 

動産・債権譲渡登記令

(登記申請書の受付)

第九条 指定法務局等の登記官は、登記申請書を受け取ったときは、法務省令で定めるところにより、直ちにその受付をしなければならない。ただし、登記申請書が郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便により送付されてきたときは、当該登記申請書を受け取った日後最初に執務を行う日に、同日に受付をすべき他の登記申請書に先立ち、その受付をしなければならない。

(登記の順序)

第十条 指定法務局等の登記官は、受付の順序に従って登記をしなければならない。ただし、前条ただし書の規定により数個の申請を受け付けた場合における各申請は同順位の受付とし、各申請に係る登記は同時にしなければならない。

 

債権・動産譲渡登記で個別同順位設定した場合のデメリット

 

債権・動産譲渡登記で個別同順位設定した場合のデメリットは、対抗要件の具備日が遅れることです。動産・債権譲渡登記令第九条により、郵送申請の場合は、到着日の翌営業日の8時30分に登記申請したものとみなされます。

例えば、10月1日に郵送申請し、10月2日に法務局に到着した場合は、10月3日朝8時30分に対抗要件が具備されることになります。

個別同順位登記をご希望の場合は、対抗要件具備日が遅れることを許容する必要があります。

 

なお、以前は備考欄に同順位設定する旨を記載した場合は、法務局よりクレームが来ておりましたが、最近は申請人の責任で行う分には補正等は求めないとのことです。(法務局は順位という概念は認めておりません。また、担当官が変われば見解が変わる可能性がございます。)

 

当事務所は、債権・動産譲渡登記の経験が豊富です。債権・動産譲渡登記に関しては実務上、多くのノウハウを有しております。債権・動産譲渡登記等をご検討されておられましたら、何なりとお問合せいただければと存じます。

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