Archive for the ‘債務整理’ Category

住宅ローンの支払いが困難になった際の対応方法

2021-10-09

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、住宅ローンの支払いが困難になった際の対応方法について記載したいと思います。

 

住宅ローンの支払いが困難になった際の対応方法

1.住宅ローン滞納が起こる前の対応

住宅ローンの滞納すると、遅延損害金の発生や債権者に法的措置を取られる等によって解決することが困難になります。住宅ローンは直ちに支払いできなくなる方は少なく何らかの兆候があることが多いです。住宅ローンの支払いが苦しくなってきたらすぐに銀行に相談することをお勧めいたします。銀行は、住宅ローンの支払いが苦しくなった方に対して様々な提案をしてくれます。例えば以下の提案があります。

 

・月々の返済を減らし、返済期間を延ばす対応

1月の返済額を減らしてくれたり、返済期間を延ばしてくれたりしてくれます。この場合は、月々の返済額は減りますがその分銀行に支払う利息が増えるデメリットはありますが、滞納して様々リスクを負うよりはるかにましだと思います。

 

・金利の見直し

固定金利を変動金利に変更したりすることで月々の返済額を減らすことができます。この場合は、手数料を別途取られますが一時とはいえ返済が楽になることがあります。

 

・住宅ローンの借り換え

こちらは、他行の金利と比較して有利な場合となります。但し、この場合は月々の返済額は減る可能性がありますが、事務手数料がかなり高くなるので、その手数料も考慮して選択する必要があります。

 

・個人再生の申し立て

住宅ローン以外の借金の返済が重い場合は、個人再生を選択することも考えられます。個人再生は住宅ローン以外の借金を原則5分の1に圧縮できます。住宅ローン以外の借金の返済を圧縮することで住宅ローンの返済が楽になります。この方法の場合は、住宅を手放すことなく債務整理ができます。

 

2.住宅ローンを滞納後の対応

・任意売却

強制競売を行うと、裁判所に支払う手数料が高い、時間がかかる、売却額が安い等デメリットが多いです。強制競売にかけられるのを免れない状態であれば金融機関に相談し、任意売却の方法を選択したほうが賢明です。

住宅ローンを滞納した場合の流れ

2021-10-02

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、住宅ローンを滞納した場合の流れについて記載したいと思います。

 

住宅ローンを滞納した場合の流れ

住宅ローンは長期にわたって返済が続きます。その間で一時的に収入が減ったりして返済が苦しくなることがあります。住宅ローンは滞納してしまうとリカバリーが大変となりますので、苦しくなる前に銀行等に相談し、対策を施すことが重要です。

ここでは、住宅ローンを滞納してしまうとどうなるかその流れについて記載したいと思います。住宅ローン滞納後の流れは①ローン会社からの通知が届く②督促状が届く③期限の利益喪失する④保証会社の代位弁済⑤強制競売のとおりに進んでいきます。

 

1.ローン会社からの通知(滞納1か月程度)

住宅ローンの滞納が始まると、ローン会社から通知がきます。うっかり引き落としを失念した場合もあるので、文面もソフトで事務的にお知らせがくる程度です。この時点で支払えば特に何の問題もありません。

 

2.督促状がくる

住宅ローンの滞納が続くと督促状等が送られてきます。こちらは1の文面と異なり、滞納が続く場合は法的手段を講じるといった文面となることが多いです。3カ月程度続くと催告書のようにより強い文面となり、期限の利益の喪失等が謳われることになります。

 

3.期限の利益の喪失

「期限の利益の喪失」とはひとことで言えば分割払いでなく一括返済を求められることになります。恐らくこの時期になると引き落とし口座も凍結されるはずです。

 

4.保証会社の代位弁済

住宅ローン滞納者が一括返済できる能力がないことが多いので、保証会社が代位弁済することになります。代位弁済とは保証会社が債務者に代わって債権者に債務を返済する手続きです。保証会社を付けたからといって、債務者にとってメリットは何一つなく、保証料だけを余分に取られるだけの存在です。(保証料は本来であればメリットを受ける債権者が払うべきものだと思いますが、商慣行で債務者が払うことになっております。)保証会社が代位弁済した全額を保証会社に全額弁済する必要があります。つまり、債権者がローン会社から保証会社に代わるだけです。

代位弁済後は保証会社によって様々な対応がとられることになります。例えば①サービサーに債権を売却される②競売にかけられる③任意売却の手続きに入る等がありますが、ここでは、強制競売の手続きを説明します。

 

5.強制競売

保証会社に代位弁済額全額を返済しなければ、保証会社は競売の申し立てを裁判所に申し立てることになります。裁判所が開始決定を出すと債務者には担保不動産競売開始決定書が送られてきます。

担保不動産競売開始決定書が債務者に送られた後は不動産差し押さえがされます。差し押さえ後も住宅には引き続き住むことができますが、対象不動産の売却等の処分行為や担保価値を低下させる行為が禁止されます。

差し押さえ後は、不動産を売却する手続きに入ります。裁判所は適正価格で販売するために、鑑定が行われます。執行官等が自宅にきたり、様々な調査が行われます。調査が完了すると公告が行われ、買い手を募集することになります。その後、入札が行われ買受人が決定します。買い手が代金を支払うと、債権者に配当が行われ、残額があれば債務者に支払われます。

 

強制競売は実際の売却代金より、低額となることが多く、裁判所を介しますので様々な調査費用がかかり、債務者にとって不利な場合が多いです。状況が許せば、任意売却のほうがおすすめです。できれば返済が苦しい場合は、滞納前に銀行等に相談し、リスケや任意売却等の相談をすることをお勧めいたします。

個人再生手続きで債権譲渡があった場合

2021-09-25

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生手続きで債権譲渡があった場合について記載したいと思います。

 

個人再生手続きで債権譲渡があった場合の対応

(1)債権者一覧表に記載がない業者に債権者が譲渡した場合

債権の譲受人ないし承継人は、裁判所に新旧の債権者が連名で押印した債権承継届出書を提出する必要があります。

裁判所に提出しないと手続き上、承継人を新債権者として裁判所は扱えず弁済を直接受けることができなくなります。この場合は、債権者一覧表に記載されている旧債権者を再生債権者として扱うことになります。

 

民事再生法

(届出名義の変更)

第九十六条 届出をした再生債権を取得した者は、債権届出期間が経過した後でも、届出名義の変更を受けることができる。第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を取得した者についても、同様とする。

 

 

(2)債権者一覧表に主債務者と保証人の双方が記載されていた場合

保証人が債権届け出期間前に代位弁済した場合は、保証人は債権届出書を裁判所に提出するとともに主債務者は裁判所に取り下げ書を提出する必要があります。取り下げ書を提出しない場合は、主債務者も再生計画による債権者として挙げなければならなくなります。申立人としては、申し立て段階で異議留保をしておけば、一般異議申述期間内に異議を述べる方法で主債務者を手続きから排除することができます。なお、債権届け出期間後は再生債権承継届出書又は債権名義変更届け出書を提出することになります。

個人再生手続きにおける再生計画案のポイント

2021-09-18

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生手続きにおける再生計画案のポイントについて記載したいと思います。

 

再生計画とは

債務を原則5分の1程度に減額してもらえる個人再生手続きですが、裁判所に認めてもらうためには、再生計画案を提出することが必要です。

再生計画案とは、減額された債務を債権者にどのように返済していくかを定めた書類です。具体的には弁済総額、弁済期間、各回の弁済額等を定めます。

 

再生計画の提出物

再生計画は、①再生計画案②弁済計画表③積立状況報告書を提出することになります。

 

再生計画案には免除率、支払い方法(毎月支払いor3カ月毎の支払い等)、少額債権の支払方法、共益債権及び一般債権の支払い、住宅資金特別条項等を定めることになります。

 

弁済計画表には、確定債権額、弁済総額、各回の弁済額を定めます。

積立状況報告書は積立状況を裁判所に知らせるものです。裁判所は計画で定めた額の支払いができるかを見るため、各月の弁済額を実際に積み立てさせ返済のテストをさせます。この積立をした通帳のコピーを積立状況報告書として裁判所に提出いたします。

 

再生計画案のポイント

再生計画作成のポイントとしては、実際の家計収支状況と照らし合わせて返済できる計画となっているかどうかです。債務の免除率は法律によって決まりますので、返済総額を債務者側でコントロールすることはできません。無理のない返済計画策定が困難な場合は、収入を増やすか、支出を減らすかの家計の改善が必要となります。収入を増やすことは困難なため、支出を見直すことになります。家賃等の固定費を改善することは困難であるため娯楽等の支出があればそれを見直すことが必要となります。支出の見直しでも困難な場合は、親族等に援助等をお願いして収入を増やし、弁済が可能な状態にする必要があります。

 

再生計画案は裁判所が定めた期限内に提出する必要があります。裁判所が定めた期限内に提出ができない場合は、個人再生手続きが廃止になりますので注意が必要です。

また、補正ができないほど完成度が低い再生計画案を提出した場合は、手続きは廃止されますので、提出前にはしっかりと点検し、正確に作成する必要があります。

(再生計画認可前の手続廃止)

第百九十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。

 決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。

 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。

 再生計画案が否決されたとき、又は第百七十二条の五第一項本文及び第四項の規定により債権者集会の続行期日が定められた場合において、同条第二項及び第三項の規定に適合する期間内に再生計画案が可決されないとき。

 

個人再生委員が選任される場合

2021-09-11

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生委員が選任される場合について記載したいと思います。

 

個人再生委員とは

裁判所に個人再生を申し立てますと個人再生委員が選任される場合があります。通常の民事再生を申し立てますと監督委員が選任されますが、借金で苦しむ個人に対して監督委員のような人が選任されますと費用が余分にかかってしまいます。そこで、個人再生手続きでは、必要最小限の職務とすることで費用を抑え込む制度として個人再生委員が設けられました。個人再生委員の職務は、民事再生法第223条第2項に記載されております。

 

民事再生法

(個人再生委員)

第二百二十三条 裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。

 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。

 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。

 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。

 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。

 

個人再生委員の選任について

個人再生委員が選任されるかどうかは裁判所によって扱いが異なります。個人再生委員が選任されますと予納金として20万~30万程度を裁判所に納める必要があります。債務に苦しむ申立人にとっては負担が大きいです。個人再生委員が選任されるかどうかは裁判所によって異なりますので、各裁判所に問い合わせが必要ですが、どの裁判所でも概ね下記の場合は選任されるようです。

・本人申し立ての場合

・事業者の場合

・負債額が3000万を超える場合

上記は裁判所によって異なりますので、必ずしも当てはまりませんが、概ね弁護士が代理人となった事件で負債額が少額の場合は、選任されないようです。個人再生委員が選任されなかった案件でも財産調査が適切に行われなかったり、複雑な状況の場合は、事後に選任される場合もあります。裁判所の考えとして弁護士代理の場合は、個人再生委員の補助の必要性がないことや事業者でなく3000万円以下の債務の場合は売掛、手形取引、信用取引を継続的に行ってないことも多く、個人再生委員の援助なしでも適切に再生計画を作成できると判断しているからではないかと思います。

なお、神戸地裁では、司法書士が書類作成を行っている事件の場合は弁護士事件と同様

、個人再生委員が選任されません。

 

まとめ

個人再生の申し立てを行うと、個人再生委員が選任されることがあります。個人再生委員が選任されますと、予納金を20万~30万円程度支払う必要があり、債務者にとって負担となります。裁判所によって異なりますが、専門家に依頼した場合は、個人再生委員の選任を避けることができます。

個人再生における別除権協定について(自動車を残す方法)

2021-06-19

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生における別除権協定について記載したいと思います。

別除権については前回説明いたしました。債権者が別除権を行使すると、担保物は売却されます。個人再生手続きで自動車ローンを抱えている方が自動車を残したいとのご要望が多いです。その際に利用されるのが別除権協定となります。

 

別除権協定とは

別除権協定とは別除権者に対して、担保物相当の価額を弁済するので、担保物を売却しないことを認めてもらう協定です。例えば自動車ローンの場合は、自動車の売却代金に相当する額を支払う代わりに担保実行を思いとどまってもらうことを認めてもらう協定を結ぶことになります。

 

別除権協定を結ぶための条件

別除権協定を結ぶためには極めて高いハードルがあります。担保対象物相当額の代金を別除権者に支払うことは偏波弁済に当たり、他の債権者にとっては自分の弁済原資を減らされるため不利益となる可能性があります。そのため、別除権協定を締結するためには、裁判所の許可が必要としております。例えば、自動車の別除権協定を締結するためには、実務上以下の条件を満たすことが必要となっております。

・タクシー運転手等当該車両が業務を遂行する上で必要不可欠なものの場合

これは、自動車がなくなると個人再生の弁済原資が得られなくなり、個人再生で定められる弁済計画の遂行に支障がきたす場合に他の債権者にとっても有益なため例外的に認められるとのスタンスを取っているためです。

「公共交通機関が不便で通勤のため、自動車が必要」程度の理由で認められることはほぼないと思います。

 

別除権協定以外で自動車を残せる手段

個人再生手続きにおいて、自動車ローン中の方が自動車を残すため別除権協定を裁判所に認めてもらうことはほぼできないと思われます。

別除権協定以外で自動車を残せる手段としては、いずれも裁判所に上申して認めてもらう必要がありますが、以下の手段が考えられます。

・親族、知人等に自動車ローンを肩代わりしてもらう。

・自動車ローンを支払ったうえで、弁済額相当を上乗せした再生計画を作成する。

親族、知人等に支払ってもらった場合は、個人再生債務者の財産が減少しないので、他の債権者にとって不利益となりません。また、弁済額相当を上乗せした場合、他の債権者にとっては影響が計算上はでませんので、履行可能性の問題が解決されれば裁判所に認めてもらえる可能性がございます。

 

まとめ

個人再生においては、別除権協定を利用することで担保物の売却を阻止して、手元に残すことができる可能性がございます。別除権協定を締結するためには裁判所の許可が必要となるため、大変ハードルが高いですが、他の債権者の不利益とならない方法をとることで自動車等を手元に残すことができる可能性があります。

個人再生手続きでお困りの場合は、何なりとご相談いただければと存じます。

個人再生における別除権の取り扱いについて

2021-06-12

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生における別除権の取り扱いについて記載したいと思います。

 

別除権とは

別除権付再生債権とは簡単にいうと担保権がついている債権をいいます。具体的には民事再生法第53条に規定されており、①特別の先取特権②質権③抵当権④留置権⑤その他の担保(譲渡担保権、所有権留保等)が挙げられます。

 

(別除権)

第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。

 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。

 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。

 

別除権付再生債権の取り扱い

個人再生手続きにおいて別除権付債権は、担保権実行によって弁済を受けることができない額が確定しない限り弁済を受けることができません。個人再生手続きにおいては、担保権実行し不足額がく確定するまでには相当の時間がかかるため、担保不足見込額をもって再生手続き上の債権額として取り扱うことにしています。

また、別除権として認められるためには第三者対抗要件が必要となります。自動車ローンの場合ですと、ほぼ所有権留保していることが多いので、第三者対抗要件は車検証の名義がローン会社となっていることが必要です。

 

別除権付再生債権の弁済方法と注意点

別除権の行使には時間がかかります。担保不足見込額をもって再生計画が認可された場合の注意点を記載いたします。

別除権付再生債権については、再生計画において不足額が確定した場合における条項を定める必要があります。例えば不足額が確定した旨の通知を受けた日に既に弁済期が到来ししている分割金については当該通知を受けた日から2週間以内に支払う。といった条項が考えられます。上記例の条項で不足額が360万円、3年で弁済する計画で10回目の弁済後であった場合には、360万円÷36回×10=100万円を2週間以内に支払い、以後は10万円を毎月支払う必要があります。従って、不足額が確定するまでの間は弁済見込額を計画的に積み立てておく必要があります。

個人再生と養育費

2021-03-13

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生手続きにおける養育費の取り扱いについて記載したいと思います。

個人再生は借金の支払いが困難な方が生活再建のため、借金を減額し、その減額した債務を3年かけて返済する手続きです。養育費といえども支払うことが困難な状態に陥っていることも多いです。一方で養育費は支払われないと子供の将来に関わってきます。そこで、個人再生で養育費はどのように取り扱われるか記載したいと思います。

 

個人再生開始前の養育費の取り扱い

再生開始前に発生した養育費と再生開始後に発生する養育費で取り扱いが異なります。再生開始前に発生した養育費は民事再生法第84条、第229条第3項より非減免債権とされました。再生開始前に発生した(滞納している)養育費はこの規定により、債権者の同意がない限り減額その他権利変更ができなくなりましたので、再生手続きにより債務が減額できず滞納分は全額支払う必要があります。しかし、非減免債権を再生期間中に全額支払わなければならないとすると、再生計画が立てられなくなる場合も多く、結局、養育費もほとんど支払いができなくなります。そこで、非減免債権については、再生期間中は他の再生債権の減額率で圧縮した額だけ支払い、再生期間が満了する時に残額を一括弁済するという取り扱いにしております。

仮に養育費月3万円、1年間分の36万円滞納、再生計画の他の再生債権の返済額が2割となっていたとすると、再生期間中は36万円の2割分の7万2000円を再生期間中は返済することになります。再生期間が満了したら残額28万8000円を一括で返済する必要があります。

 

(再生債権となる請求権)

第八十四条 再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ。)は、再生債権とする。

 

 

(再生計画による権利の変更の内容等)

第二百二十九条

 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。

 次に掲げる義務に係る請求権

 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務

 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務

 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務

 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務

 イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

 

(再生計画の効力等)

第二百三十二条

 第二項に規定する場合における第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権であって無異議債権及び評価済債権であるものについては、第百五十六条の一般的基準に従って弁済をし、かつ、再生計画で定められた弁済期間が満了する時に、当該請求権の債権額から当該弁済期間内に弁済をした額を控除した残額につき弁済をしなければならない。

 

個人再生開始後の養育費の取り扱い

再生開始後の養育費は民事再生法第119条より共益債権とされております。従って、滞納していた養育費と違って、民事再生手続きによらず随時弁済することになります。養育費は要扶養状態の継続によって日々発生する権利です。養育費は扶養請求権者の日々の生活を維持するために必要な額を扶養義務者にとって可能な限度でその都度支給するという性質を有しております。滞納していた養育費と同様に非減免債権とすると、再生期間中は養育費を圧縮され、再生期間が満了すると子供の養育期間分の全額を一括して支払わなければならなくなり、上記の養育費の性質に合致しなくなります。将来の養育費は、その都度都度支払いを受けなければ子供にとっては酷であり、共益債権として個人再生手続きとは関係なく支払期日が到来すれば随時支払わなければなりません。

 

(共益債権となる請求権)

第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。

 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権

 

養育費の支払いが困難な場合

債務負担や職場環境の変化によって審判で決められた養育費の支払いが困難な場合は、裁判所に事情変更を理由として審判の変更の申し立てをすることができます。

なお、個人再生手続きでは審判で決められた養育費の支払いも履行可能性の判断をされますので、養育費の支払いが困難となっている場合は、個人再生を認可されない可能性があります。従って、このような場合は家庭裁判所に養育費の変更を申し立てるか、前妻と協議して減額してもらうなどの措置を講じる必要があります。

 

まとめ

個人再生手続きでの養育費は再生開始前後で扱いが変わります。再生開始前は、非減免債権扱いとなり、基本的には個人再生手続きの中で処理されます。再生期間中は圧縮された額を返済し、再生期間が満了した後は残額を一括して支払う必要があります。

再生開始後は、共益債権として扱われ個人再生手続きの外で随時弁済する必要があります。

また、養育費の支払いが困難で再生計画の履行可能性に問題が生じるような場合は、家庭裁判所に変更を申し立てるか前妻と協議して減額の合意を得る等、再生計画が履行できる程度にしておく必要があります。

 

個人再生でも減額されない債権(共益債権と一般優先債権)

2021-03-06

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

先日は、個人再生でも減額されない債権として非減免債権について記載いたしました。本日は、個人再生でも減額されない債権の共益債権と一般優先債権について記載したいと思います。

 

共益債権・一般優先債権と非減免債権の違い

共益債権・一般優先債権が非減免債権と異なる点は、個人再生の手続きとは関係がなく、随時支払いをする必要がある点です。非減免債権は個人再生手続きの中に組み込まれ、再生期間中は圧縮された範囲で弁済し、再生期間が終われば残額を全額支払う必要があります。一方で共益債権・一般優先債権は個人再生期間に関わらず、債権者の求めに応じて支払う必要があります。

 

共益債権とは

共益債権とは,再生手続上の利害関係人の共同の利益のためにされた行為により生じた債権です。共益債権は民事再生法第119条に記載があります。共益債権は、個人再生手続きが始まっても弁済は禁止されませんし、強制執行もできます。また、債権の減額もされません。

 

(共益債権となる請求権)

第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。

 再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権

 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権

 再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)

 第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権

 再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権

 事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権

 再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)

 

一般優先債権とは

一般優先債権には「一般の先取特権」と「その他一般の優先権がある債権」があります。

 

一般の先取特権とは、マンションの管理費や修繕積立金、雇用関係に基づいて発生した給料、葬式、日用品の費用等です。

「その他一般の優先権がある債権」の例としては、税金、社会保険料、公的年金、罰金等です。

 

一般優先債権は個人再生を行っても減額されませんし、随時支払う必要があります。滞納すれば再生期間中であっても強制執行は禁止されません。

 

(一般優先債権)

第百二十二条 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。

 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。

 

 

まとめ

個人再生でも減額されない債権として、共益債権と一般優先債権、非減免債権があります。非減免債権は、弁済期禁止期間が設けられ、支払いは再生期間中は他の再生債権と同様に再生計画で圧縮した額を支払い、残額は再生期間終了後でなければ支払いを受けられないという制約を受けます。一方で共益債権、一般優先債権は再生手続きの制約を受けず、随時弁済を行わなければなりません。神戸市内で借金問題でお困りの場合は、お気軽にご相談いただければと存じます。

 

 

個人再生手続における非減免債権の取り扱い

2021-02-27

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

個人再生手続きは原則、債務を5分の1に減額し、3年間で返済する手続きです。個人再生手続きでも減額されない債権として「共益債権」「一般優先債権」「非減免債権」があります。本日は、個人再生手続における非減免債権の取り扱いについて記載したいと思います。

 

非減免債権となる債権

個人再生手続きで非免責債権となる債権は①再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権②再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権③夫婦間の協力及び扶助の義務④婚姻から生ずる費用の分担の義務⑤子の監護に関する義務⑥個人再生前に滞納していた養育費にかかる債権は非減免債権となります。(民事再生法第229条第3項)

なお、租税等は破産手続きでは非免責債権とされておりますが、個人再生手続きでは一般優先債権とされ、再生手続きによらず随時弁済しなければなりません。租税等は再生手続きに関わらず絶対に支払わなければならない債権として扱われます。

 

①の「悪意」とは、相手を積極的に加害する意思をいい、悪意があれば非減免債権となります。悪意がなかった場合は、人の生命又は身体を害する不法行為でかつ故意または重過失があれば非減免債権となります。これ以外の損害賠償請求権は一般債権と同様減額されます。なお、個人再生手続き内で非減免債権かどうかの判断を裁判所はしてくれません。争いがある場合は別途の訴訟で確定させなければなりません。

 

どのような場合に「悪意」があったかや「故意または重過失」があったかは個別の判断が必要となり、一概にいえませんが、飲酒運転や50キロ超のスピード違反で交通事故を起こした場合は、非減免債権となる可能性が高いです。

 

 

養育費は非減免債権となるか

養育費は、個人再生前に滞納していたものは非減免債権となります。個人再生開始後の養育費は将来の支払いとして「共益債権」として扱われます。非減免債権については、再生計画に従って返済され、個人再生の支払い期限が終了した後、残額を一括して支払うことになります。共益債権として扱われる将来分の養育費は、再生計画とは別途、支払い期限が到来するたびに支払う必要があります。

 

個人再生手続における非減免債権の取り扱い

非減免債権は民事再生法で再生債権の総額から除かれる債権として規定されておりません。よって原則は、個人再生手続きに組み込む必要があり、債権者一覧表にも記載が必要です。単に個人再生手続内で減額がされないだけです。

 

よって、他の再生債権と同様に再生手続きの範囲外で勝手に弁済することはできなくなります。再生計画が確定した後、初めて弁済ができるようになります。

 

非減免債権の弁済方法

非減免債権の弁済は他の再生債権と基本的には同じ扱いをうけますが、以下の点で異なる扱いを受けます。

①債権額が減額されることはない

②弁済方法(再生期間中は、他の再生債権と同様に再生計画で圧縮した額だけ支払う。残額は再生期間終了後に一括払い)

 

再生期間中に全額を支払うとすると、再生計画の履行可能性が損なわれることになり、結果として非減免債権の債権者への支払いも滞ることになるため、このような規定が設けられました。一方で再生債務者にとっては、再生期間が終了したら直ちに一括弁済をしなければなりませんので、再生計画の履行期間中も別に積み立てをしておく必要があります。

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