Archive for the ‘債務整理’ Category

個人再生における別除権の取り扱いについて

2021-06-12

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生における別除権の取り扱いについて記載したいと思います。

 

別除権とは

別除権付再生債権とは簡単にいうと担保権がついている債権をいいます。具体的には民事再生法第53条に規定されており、①特別の先取特権②質権③抵当権④留置権⑤その他の担保(譲渡担保権、所有権留保等)が挙げられます。

 

(別除権)

第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。

 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。

 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。

 

別除権付再生債権の取り扱い

個人再生手続きにおいて別除権付債権は、担保権実行によって弁済を受けることができない額が確定しない限り弁済を受けることができません。個人再生手続きにおいては、担保権実行し不足額がく確定するまでには相当の時間がかかるため、担保不足見込額をもって再生手続き上の債権額として取り扱うことにしています。

また、別除権として認められるためには第三者対抗要件が必要となります。自動車ローンの場合ですと、ほぼ所有権留保していることが多いので、第三者対抗要件は車検証の名義がローン会社となっていることが必要です。

 

別除権付再生債権の弁済方法と注意点

別除権の行使には時間がかかります。担保不足見込額をもって再生計画が認可された場合の注意点を記載いたします。

別除権付再生債権については、再生計画において不足額が確定した場合における条項を定める必要があります。例えば不足額が確定した旨の通知を受けた日に既に弁済期が到来ししている分割金については当該通知を受けた日から2週間以内に支払う。といった条項が考えられます。上記例の条項で不足額が360万円、3年で弁済する計画で10回目の弁済後であった場合には、360万円÷36回×10=100万円を2週間以内に支払い、以後は10万円を毎月支払う必要があります。従って、不足額が確定するまでの間は弁済見込額を計画的に積み立てておく必要があります。

個人再生と養育費

2021-03-13

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生手続きにおける養育費の取り扱いについて記載したいと思います。

個人再生は借金の支払いが困難な方が生活再建のため、借金を減額し、その減額した債務を3年かけて返済する手続きです。養育費といえども支払うことが困難な状態に陥っていることも多いです。一方で養育費は支払われないと子供の将来に関わってきます。そこで、個人再生で養育費はどのように取り扱われるか記載したいと思います。

 

個人再生開始前の養育費の取り扱い

再生開始前に発生した養育費と再生開始後に発生する養育費で取り扱いが異なります。再生開始前に発生した養育費は民事再生法第84条、第229条第3項より非減免債権とされました。再生開始前に発生した(滞納している)養育費はこの規定により、債権者の同意がない限り減額その他権利変更ができなくなりましたので、再生手続きにより債務が減額できず滞納分は全額支払う必要があります。しかし、非減免債権を再生期間中に全額支払わなければならないとすると、再生計画が立てられなくなる場合も多く、結局、養育費もほとんど支払いができなくなります。そこで、非減免債権については、再生期間中は他の再生債権の減額率で圧縮した額だけ支払い、再生期間が満了する時に残額を一括弁済するという取り扱いにしております。

仮に養育費月3万円、1年間分の36万円滞納、再生計画の他の再生債権の返済額が2割となっていたとすると、再生期間中は36万円の2割分の7万2000円を再生期間中は返済することになります。再生期間が満了したら残額28万8000円を一括で返済する必要があります。

 

(再生債権となる請求権)

第八十四条 再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ。)は、再生債権とする。

 

 

(再生計画による権利の変更の内容等)

第二百二十九条

 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。

 次に掲げる義務に係る請求権

 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務

 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務

 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務

 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務

 イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

 

(再生計画の効力等)

第二百三十二条

 第二項に規定する場合における第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権であって無異議債権及び評価済債権であるものについては、第百五十六条の一般的基準に従って弁済をし、かつ、再生計画で定められた弁済期間が満了する時に、当該請求権の債権額から当該弁済期間内に弁済をした額を控除した残額につき弁済をしなければならない。

 

個人再生開始後の養育費の取り扱い

再生開始後の養育費は民事再生法第119条より共益債権とされております。従って、滞納していた養育費と違って、民事再生手続きによらず随時弁済することになります。養育費は要扶養状態の継続によって日々発生する権利です。養育費は扶養請求権者の日々の生活を維持するために必要な額を扶養義務者にとって可能な限度でその都度支給するという性質を有しております。滞納していた養育費と同様に非減免債権とすると、再生期間中は養育費を圧縮され、再生期間が満了すると子供の養育期間分の全額を一括して支払わなければならなくなり、上記の養育費の性質に合致しなくなります。将来の養育費は、その都度都度支払いを受けなければ子供にとっては酷であり、共益債権として個人再生手続きとは関係なく支払期日が到来すれば随時支払わなければなりません。

 

(共益債権となる請求権)

第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。

 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権

 

養育費の支払いが困難な場合

債務負担や職場環境の変化によって審判で決められた養育費の支払いが困難な場合は、裁判所に事情変更を理由として審判の変更の申し立てをすることができます。

なお、個人再生手続きでは審判で決められた養育費の支払いも履行可能性の判断をされますので、養育費の支払いが困難となっている場合は、個人再生を認可されない可能性があります。従って、このような場合は家庭裁判所に養育費の変更を申し立てるか、前妻と協議して減額してもらうなどの措置を講じる必要があります。

 

まとめ

個人再生手続きでの養育費は再生開始前後で扱いが変わります。再生開始前は、非減免債権扱いとなり、基本的には個人再生手続きの中で処理されます。再生期間中は圧縮された額を返済し、再生期間が満了した後は残額を一括して支払う必要があります。

再生開始後は、共益債権として扱われ個人再生手続きの外で随時弁済する必要があります。

また、養育費の支払いが困難で再生計画の履行可能性に問題が生じるような場合は、家庭裁判所に変更を申し立てるか前妻と協議して減額の合意を得る等、再生計画が履行できる程度にしておく必要があります。

 

個人再生でも減額されない債権(共益債権と一般優先債権)

2021-03-06

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

先日は、個人再生でも減額されない債権として非減免債権について記載いたしました。本日は、個人再生でも減額されない債権の共益債権と一般優先債権について記載したいと思います。

 

共益債権・一般優先債権と非減免債権の違い

共益債権・一般優先債権が非減免債権と異なる点は、個人再生の手続きとは関係がなく、随時支払いをする必要がある点です。非減免債権は個人再生手続きの中に組み込まれ、再生期間中は圧縮された範囲で弁済し、再生期間が終われば残額を全額支払う必要があります。一方で共益債権・一般優先債権は個人再生期間に関わらず、債権者の求めに応じて支払う必要があります。

 

共益債権とは

共益債権とは,再生手続上の利害関係人の共同の利益のためにされた行為により生じた債権です。共益債権は民事再生法第119条に記載があります。共益債権は、個人再生手続きが始まっても弁済は禁止されませんし、強制執行もできます。また、債権の減額もされません。

 

(共益債権となる請求権)

第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。

 再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権

 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権

 再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)

 第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権

 再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権

 事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権

 再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)

 

一般優先債権とは

一般優先債権には「一般の先取特権」と「その他一般の優先権がある債権」があります。

 

一般の先取特権とは、マンションの管理費や修繕積立金、雇用関係に基づいて発生した給料、葬式、日用品の費用等です。

「その他一般の優先権がある債権」の例としては、税金、社会保険料、公的年金、罰金等です。

 

一般優先債権は個人再生を行っても減額されませんし、随時支払う必要があります。滞納すれば再生期間中であっても強制執行は禁止されません。

 

(一般優先債権)

第百二十二条 一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く。)は、一般優先債権とする。

 一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。

 

 

まとめ

個人再生でも減額されない債権として、共益債権と一般優先債権、非減免債権があります。非減免債権は、弁済期禁止期間が設けられ、支払いは再生期間中は他の再生債権と同様に再生計画で圧縮した額を支払い、残額は再生期間終了後でなければ支払いを受けられないという制約を受けます。一方で共益債権、一般優先債権は再生手続きの制約を受けず、随時弁済を行わなければなりません。神戸市内で借金問題でお困りの場合は、お気軽にご相談いただければと存じます。

 

 

個人再生手続における非減免債権の取り扱い

2021-02-27

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

個人再生手続きは原則、債務を5分の1に減額し、3年間で返済する手続きです。個人再生手続きでも減額されない債権として「共益債権」「一般優先債権」「非減免債権」があります。本日は、個人再生手続における非減免債権の取り扱いについて記載したいと思います。

 

非減免債権となる債権

個人再生手続きで非免責債権となる債権は①再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権②再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権③夫婦間の協力及び扶助の義務④婚姻から生ずる費用の分担の義務⑤子の監護に関する義務⑥個人再生前に滞納していた養育費にかかる債権は非減免債権となります。(民事再生法第229条第3項)

なお、租税等は破産手続きでは非免責債権とされておりますが、個人再生手続きでは一般優先債権とされ、再生手続きによらず随時弁済しなければなりません。租税等は再生手続きに関わらず絶対に支払わなければならない債権として扱われます。

 

①の「悪意」とは、相手を積極的に加害する意思をいい、悪意があれば非減免債権となります。悪意がなかった場合は、人の生命又は身体を害する不法行為でかつ故意または重過失があれば非減免債権となります。これ以外の損害賠償請求権は一般債権と同様減額されます。なお、個人再生手続き内で非減免債権かどうかの判断を裁判所はしてくれません。争いがある場合は別途の訴訟で確定させなければなりません。

 

どのような場合に「悪意」があったかや「故意または重過失」があったかは個別の判断が必要となり、一概にいえませんが、飲酒運転や50キロ超のスピード違反で交通事故を起こした場合は、非減免債権となる可能性が高いです。

 

 

養育費は非減免債権となるか

養育費は、個人再生前に滞納していたものは非減免債権となります。個人再生開始後の養育費は将来の支払いとして「共益債権」として扱われます。非減免債権については、再生計画に従って返済され、個人再生の支払い期限が終了した後、残額を一括して支払うことになります。共益債権として扱われる将来分の養育費は、再生計画とは別途、支払い期限が到来するたびに支払う必要があります。

 

個人再生手続における非減免債権の取り扱い

非減免債権は民事再生法で再生債権の総額から除かれる債権として規定されておりません。よって原則は、個人再生手続きに組み込む必要があり、債権者一覧表にも記載が必要です。単に個人再生手続内で減額がされないだけです。

 

よって、他の再生債権と同様に再生手続きの範囲外で勝手に弁済することはできなくなります。再生計画が確定した後、初めて弁済ができるようになります。

 

非減免債権の弁済方法

非減免債権の弁済は他の再生債権と基本的には同じ扱いをうけますが、以下の点で異なる扱いを受けます。

①債権額が減額されることはない

②弁済方法(再生期間中は、他の再生債権と同様に再生計画で圧縮した額だけ支払う。残額は再生期間終了後に一括払い)

 

再生期間中に全額を支払うとすると、再生計画の履行可能性が損なわれることになり、結果として非減免債権の債権者への支払いも滞ることになるため、このような規定が設けられました。一方で再生債務者にとっては、再生期間が終了したら直ちに一括弁済をしなければなりませんので、再生計画の履行期間中も別に積み立てをしておく必要があります。

家賃滞納がある場合の個人再生

2021-02-24

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、家賃滞納がある場合の個人再生手続きについて記載したいと思います。

 

家賃滞納がある場合の個人再生手続きの問題点

個人再生手続きにおいては債権者への弁済が禁止されます。個人再生は裁判所を通して強制的に借金を減額する手続きです。特定の債権者に対して弁済すると返済額を減らされている他の債権者との平等に反するため、原則禁止されております。

家賃滞納している場合、建物明け渡しを求められ、住む場所を失うこととなります。その結果、生活再建自体が困難になります。

このような事態を避けるため滞納家賃を支払えるかが問題となります。

 

家賃滞納がある場合の返済の可否

結論から言えば、滞納家賃も原則支払うことはできません。滞納家賃を支払ってもよい場合として、「事業の継続に著しい支障をきたすことを避けるための少額債権」については裁判所に弁済許可を得て支払うことが可能な場合があります。個人再生は減額した債務を原則3年以内に完済するための手続きです。事務所を兼ねている場合で立ち退かされたら事業継続が困難となり、返済原資を得られなくなった結果、再生手続き自体に重大な影響を及ぼす場合でかつ他の債権者との平等の観点から家賃滞納額が少額の場合、裁判所に許可を得られる可能性がございます。

 

滞納家賃があった場合の対応

原則として、債務者自身が滞納家賃を支払うことは認められておりません。滞納家賃を支払えない場合は住む家を失うことになります。その解決策としては以下の対応が考えられます。

 

①親族等に滞納家賃を払ってもらう

②清算価値に上乗せする

③敷金から充当してもらう

 

①親族等に滞納家賃を払ってもらう

滞納家賃の解決で最も問題が少ないのが、親族等に支払ってもらうことです。親族等に支払ってもらうことで債務者自身の返済能力は減ることがないため、債権者にとっては不利益となりません。

 

②清算価値に上乗せする

清算価値に上乗せする方法は返済額自体が増大するデメリットがあります。債権者にとっては、滞納家賃を支払った分、自分たちへの返済余力が低下いたします。その分を、本来存在したはずの資産に上乗せすることで、返済余力を補えるため不利益がありません。しかし、債務者にとっては滞納家賃を支払ったうえ、その分を更に他の債権者に返済しなければならないため、返済できるだけの収入見込みがないと再生計画を立てることができません。よって、この方法を取る場合は、家計の見直しによって滞納家賃とその上乗せ分を生み出せるほどの収支改善をする必要があります。生活改善をおし進め、収入を増やす、支出を減らす努力が必要となります。もっとも債務額と清算価値を比較して圧縮した債務額が清算価値を上回っていた場合は影響がない可能性はあります。

 

③敷金から充当してもらう

敷金から充当する方法ですが、家主の承諾を得ることが必要となります。家主の承諾を得られたとしても敷金のさらなる積み増しが求められる可能性が高いです。再生手続きを開始した後は敷金の積み増しは再生債権の履行にあたりますので、敷金の積み増しを行うことはできません。

なお、親族等に敷金の積み増しを行ってもらうことはできます。

よって、敷金から充当する方法の場合は、家主の承諾を得ること及び積み増しを求められた敷金を親族に充当してもらえる場合に使えます。

 

個人再生にについて疑問等がございましたら何なりとお問い合わせいただければと存じます。

会社から給料天引きで借りている場合の個人再生手続

2021-02-20

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、会社から給料天引きで借りている場合の個人再生手続について記載したいと思います。

 

会社から給料天引きで借りている場合の個人再生手続

会社の福利厚生等で長期低金利で貸し出しを行っている会社も多いと思います。一般的に給料の天引きは労使間の書面による協定がある場合や合意による相殺等が労働者の自由な意思に基づきされていると認められるに足る合理的な理由が客観的にある場合は認められることになります。この原則を個人再生手続きに当てはめて、会社が天引きできるかどうかが問題となります。民事再生法85条第1項「再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。」にあるとおり弁済ができないことになっております。会社からの借り入れも再生債権にあたりますので、弁済は禁止されることになります。

個人再生を申し立てる場合は、会社に対して給料天引きを停止してもらう必要があります。

 

会社からの借り入れが別除権となるか

個人再生手続きでは原則、再生計画の定めるところによらなければ債権者への弁済が禁止されます。しかし、別除権(担保権)を有する債権者は例外として、その担保の範囲内で弁済を受けることができます。

 

(別除権)

第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。

 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。

 

ここで、会社からの借り入れが別除権を構成するかが問題となります。結論から言うと融資の仕方によって変わります。個人再生では相殺を広く認めると、他の債権者との公平性や返済計画に重大な支障を及ぼすことになりますから、相殺できる場合を法律で限定しております。単なる相殺予約のような場合は恐らく別除権として取り扱うことができず、通常の再生債権と同じ取り扱いを受ける可能性が高いと考えます。

 

別除権扱いとなる場合として退職金請求権に対して質権が設定される場合です。質権は民法に規定されている典型担保のため、別除権債権となります。いずれいにしても別除権として扱ってよいかどうかは個別具体的に判断する必要があります。

ご不明な点がございましたら何なりとお問合せいただければと存じます。

 

個人再生手続きで債権者一覧表に知れたる債権者を記載しなかった場合

2021-02-17

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生手続きで債権者一覧表に知れたる債権者を記載しなかった場合について記載したいと思います。

 

債権者一覧表とは

個人再生を申し立てる場合、知れたる債権者を債権者一覧表に記載して裁判所に提出しなければなりません。裁判所はこの一覧表から債権者に一斉に通知することになります。通知を受けた債権者は一覧表に記載された債権額と異なる場合、届け出ることなり、届け出なかった場合は、記載内容と同一内容で再生債権の届け出をしたものとみなされます。

 

無届債権の場合の取り扱い

無届債権は、債権届け出期間経過後は原則として債権届け出をすることはできません。よって無届出債権者は個人再生手続きに参加することができなくなることが原則となります。しかしながらこれでは、債権者一覧表に記載されなかったばかりに自分の債権が個人再生手続きにかかっていることを知らない間に不利益を受ける債権者はたまったものではありません。そこで、民事再生法95条には「再生債権者がその責めに帰することができない事由によって債権届出期間内に届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、その届出の追完をすることができる。」との規定がありあます。ただし、再生計画案を決議に付した後又は再生計画案についての意見聴取決定がされた後は届け出の追完ができないことになります。よって債権者に帰責事由がある場合は再生計画で定められた弁済期間が満了する時までの間は弁済等を受けることができないという不利益の扱いを受けます。

 

債務者が意図的に債権者一覧表に記載しなかった場合の取り扱い

債権者が不利益を受けるかどうかは債権者の「責めに帰すること」があったかなかったかで決まります。個人再生手続き上は、債権者一覧表に記載がなかった場合でも公告手続きをとって広く呼び掛けているとの建前をとってますが、実際問題として公告で届け出ろということは債権者にとっては大変酷なことです。そこで、特段の事情がある場合を除き、債権者が個別通知を受けなかった場合は、「責めに帰することがない」という風に解釈される可能性が高いと思います。しかし、再生計画案を決議に付した後又は再生計画案についての意見聴取決定がされた後は届け出の追完ができないことになります。しかし、例えば反対が予想される債権者を除くため敢えて債務者が債権者一覧表に記載しなかった場合等は、不正があったと解され再生計画自体認可されないこともあり得ると考えます。

従って知れたる債権者を意図的に記載しなかった場合は、決していいことはありませんので、全て記載すべきです。

連帯債務型の住宅ローンと個人再生

2021-02-13

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

以前ペアローンにおける個人再生の住宅資金特別条項を利用できるかについて記載いたしました。本日は、連帯債務型の住宅ローンにおける個人再生の住宅資金特別条項を定めるに当たっての注意事項について記載したいと思います。

 

ペアローンと連帯債務の違いについて

ペアローンは例えば夫婦の場合、夫と妻がそれぞれ別の金銭消費貸借を結びそれぞれが別個の債務を負うものをいいます。例えば3000万の住宅ローンを組んで夫が2000万、妻が1000万のローンを組めば、夫は2000万の債務を抱え、妻は1000万の債務を抱えることになります。一方、連帯債務は1つのローンを組んで夫婦が連帯して返済する義務を負うローンです。例えば3000万のローンを組んだ場合、夫、妻とも3000万を返済する義務を負います。仮に返済方法として夫が2000万、妻が1000万返済することにしたとしても妻が債務不履行を起こした場合、夫は妻の返済分も返済する義務があります。返済方法は内部での負担割合を定めたにすぎず、3000万全額を返済しなければなりません。

 

連帯債務型における住宅資金特別条項を定めるに当たっての注意事項

例えば夫が個人再生を申し立てる場合、再生計画を定めるにあたって、夫分のみの負担割合を返済することを定めることができるか疑問を持たれる方もいらっしゃるかと存じます。

結論から申し上げますと、債権者の同意がない限り、夫分の負担割合で再生計画を作ることができず、債務全体を返済する計画を作成しなければなりません。

なぜなら、債権者の立場にたてば、債務全額をどちらかでもよいので返済してもらうことを期待しております。夫と妻がそれぞれ負担割合を定めて返済したとしてもそれは内部の負担割合を定めたにすぎず、債権者からすれば関係がないことです。住宅ローン特別条項を定める条件として全額返済の内容としなければならず、申立人の負担割合のみの再生計画では要件を満たさないことになります。

なお、これは片方だけが申し立てる場合でも、両方が申し立てる場合でもそれぞれ全額を返済する計画を提出しなければなりません。

 

実際の返済は、申し立てた人が全額支払わなければならないわけでなく連帯債務者の合計の返済額が再生計画で定めた金額であればよいです。

 

少しでも不明な点がございましたら何なりとお問い合わせいただければと存じます。

個人再生手続きでの家計簿作成について

2021-02-10

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生手続きにおいての家計簿作成について記載したいと思います。

 

家計簿を提出する理由

個人再生の申し立てにおいて、直近2カ月の家計簿を提出する必要があります。

個人再生手続きは原則借金を5分の1に減額し、3年で返済する手続きです。そこで、裁判所は計画通り3年で返済できるか確認するため、月々の収支を確認し、返済できるだけの余裕があるか判断するためです。家計簿での収支が悪い場合、返済不可能と判断され、個人再生を認められない可能性があります。

裁判所は収支のバランス、支出の内容が妥当かどうか(娯楽費が過大だと改善を求められる可能性があります。)、世帯全員の収支かどうか、返済能力の有無、虚偽がないかどうかを審査されます。特に虚偽が判明しますと、虚偽申告として個人再生が認められない可能性があります。家計簿作成にあたっては記録と突合し、整合性がとれる内容にしてください。

 

家計簿のつける前の準備

家計簿をつけるためには、日々のお金の収支を把握し、それを確認できる状態にしておかなければなりません。お金の出入りがあればその記録をつけ、それを証するため領収証やレシート、口座振替の場合、銀行口座の記帳をするなど証拠となる書類の保管が必要となります。

また、裁判所に提出する書類には繰越金という項目もありますので、家計簿作成開始時点での資産の残高(預貯金の残高と現金保有額)を把握し、記録をつけることが必要となります。裁判所から公共料金や公租公課、概ね1万円を超える領収証の提出を求められる可能性がありますので、必ず保管をお願いいたします。

 

家計簿のつける前の準備項目

・領収証、レシートの保管

・銀行口座の記帳

・家計簿作成開始時点での資産額の把握

・給与明細等収入を証する書面の保管

 

家計簿に記入する項目

家計簿には世帯収支を記録する必要があります。申立人のほか、世帯で申立人の他の人の収入と支出も記録する必要があります。

 

収入について

前月の繰越額:口座残高、現金残高を記録します。

給与・賞与:申立人、他の世帯家族の手取り額を記載いたします。

その他、児童手当、年金、自営収入、生活保護、失業保険、親類からの援助、借入等があげられます。

 

支出について

収入と同様、財産を支出した場合は全て記録いたします。

項目として、家賃、住宅ローンの支払い、食費、日用品代、被服費、娯楽費、電気、ガス、水道代、駐車場代、保険、ガソリン代、医療費、交通費、交際費、返済等が挙げられます。ここで娯楽費等が必要以上に多いと裁判所から改善を求められることもあります。

 

家計簿をつける時期

申し立て貯金の2ヶ月分を作成し、裁判所に提出する必要があります。よって少なくとも申し立て前の2カ月間は作成する必要があります。申し立てたあとも家計管理を裁判所から求められたり、再生計画提出の際、申し立て日以降の家計収支表を提出を求める裁判所もありますので、再生認可決定がおりるまでは、家計簿をつけていただき、領収証等の保管をして頂く必要があります。

 

個人再生手続きにおける家計簿作成について記載いたしました。

ご不明な点がございましたら、何なりとお問合せいただければと存じます。

 

家計収支がマイナスの場合の個人再生の利用できるか

2021-02-06

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、家計収支がマイナスの場合でも個人再生の利用できるかについて記載したいと思います。

個人再生手続きは原則債務を5分の1に減らし、3年以内に完済を目指す手続きです。

そこで、家計収支がマイナスの場合に個人再生が利用できるかが問題となります。

 

家計収支がマイナスの場合の個人再生の利用できるか

個人再生を行うためには、債務の返済ができることが前提となります。その履行可能性を判断するため家計簿を裁判所に提出することになります。その家計簿で収支がマイナスとなっていると裁判所は継続的に安定的に返済が不可能と判断されることになります。従って家計収支がマイナスだと個人再生が認められることは困難と考えます。

仮に家計収支がプラスであっても、生活保護費等継続的安定的な収入でないと判断される収入の場合だと、同様に個人再生が認められにくいと考えます。

 

家計収支がマイナスの場合の対処法

家計収支の見直し

家計収支がマイナスとなる場合、目安として月収支が3万程度の黒字がでるよう家計簿の収支を見直してみることが必要です。

収入を増やすことは簡単ではありませんので、支出を見直す必要があります。娯楽費や交際費、被服費などが家計を圧迫している場合は、これらの支出を見直す等、生活習慣を変えていく必要があります。個人再生が認められても、収支が均衡していないと生活再建は困難です。個人再生の申し立てを契機として生活習慣を変えていくきっかけとして考えていただければと存じます。

 

自己破産の検討

家計収支を見直しても黒字が出せない場合は、残念ながら自己破産を検討せざるを得ない状況かと思います。自己破産は様々なデメリットがありますが、国が認めた生活再建のための救済手段です。生活に必要な最低限の財産以外は失うことになりますが、債務の支払いが免責され、再び人生をやり直すことができます。大変心苦しいことですが、一度検討をしていただければと思います。

 

借金を抱えておられると心が沈み、希望が持てない場合もあります。相談だけでもお心が軽くなる方も大勢いらっしゃいます。どのようなことでも真摯にお話をお伺いいたしますので、何なりとお申し付けいただければと存じます。

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