Archive for the ‘コラム’ Category

個人再生手続きで債権譲渡があった場合

2021-09-25

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生手続きで債権譲渡があった場合について記載したいと思います。

 

個人再生手続きで債権譲渡があった場合の対応

(1)債権者一覧表に記載がない業者に債権者が譲渡した場合

債権の譲受人ないし承継人は、裁判所に新旧の債権者が連名で押印した債権承継届出書を提出する必要があります。

裁判所に提出しないと手続き上、承継人を新債権者として裁判所は扱えず弁済を直接受けることができなくなります。この場合は、債権者一覧表に記載されている旧債権者を再生債権者として扱うことになります。

 

民事再生法

(届出名義の変更)

第九十六条 届出をした再生債権を取得した者は、債権届出期間が経過した後でも、届出名義の変更を受けることができる。第百一条第三項の規定により認否書に記載された再生債権を取得した者についても、同様とする。

 

 

(2)債権者一覧表に主債務者と保証人の双方が記載されていた場合

保証人が債権届け出期間前に代位弁済した場合は、保証人は債権届出書を裁判所に提出するとともに主債務者は裁判所に取り下げ書を提出する必要があります。取り下げ書を提出しない場合は、主債務者も再生計画による債権者として挙げなければならなくなります。申立人としては、申し立て段階で異議留保をしておけば、一般異議申述期間内に異議を述べる方法で主債務者を手続きから排除することができます。なお、債権届け出期間後は再生債権承継届出書又は債権名義変更届け出書を提出することになります。

個人再生手続きにおける再生計画案のポイント

2021-09-18

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生手続きにおける再生計画案のポイントについて記載したいと思います。

 

再生計画とは

債務を原則5分の1程度に減額してもらえる個人再生手続きですが、裁判所に認めてもらうためには、再生計画案を提出することが必要です。

再生計画案とは、減額された債務を債権者にどのように返済していくかを定めた書類です。具体的には弁済総額、弁済期間、各回の弁済額等を定めます。

 

再生計画の提出物

再生計画は、①再生計画案②弁済計画表③積立状況報告書を提出することになります。

 

再生計画案には免除率、支払い方法(毎月支払いor3カ月毎の支払い等)、少額債権の支払方法、共益債権及び一般債権の支払い、住宅資金特別条項等を定めることになります。

 

弁済計画表には、確定債権額、弁済総額、各回の弁済額を定めます。

積立状況報告書は積立状況を裁判所に知らせるものです。裁判所は計画で定めた額の支払いができるかを見るため、各月の弁済額を実際に積み立てさせ返済のテストをさせます。この積立をした通帳のコピーを積立状況報告書として裁判所に提出いたします。

 

再生計画案のポイント

再生計画作成のポイントとしては、実際の家計収支状況と照らし合わせて返済できる計画となっているかどうかです。債務の免除率は法律によって決まりますので、返済総額を債務者側でコントロールすることはできません。無理のない返済計画策定が困難な場合は、収入を増やすか、支出を減らすかの家計の改善が必要となります。収入を増やすことは困難なため、支出を見直すことになります。家賃等の固定費を改善することは困難であるため娯楽等の支出があればそれを見直すことが必要となります。支出の見直しでも困難な場合は、親族等に援助等をお願いして収入を増やし、弁済が可能な状態にする必要があります。

 

再生計画案は裁判所が定めた期限内に提出する必要があります。裁判所が定めた期限内に提出ができない場合は、個人再生手続きが廃止になりますので注意が必要です。

また、補正ができないほど完成度が低い再生計画案を提出した場合は、手続きは廃止されますので、提出前にはしっかりと点検し、正確に作成する必要があります。

(再生計画認可前の手続廃止)

第百九十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。

 決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。

 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。

 再生計画案が否決されたとき、又は第百七十二条の五第一項本文及び第四項の規定により債権者集会の続行期日が定められた場合において、同条第二項及び第三項の規定に適合する期間内に再生計画案が可決されないとき。

 

個人再生委員が選任される場合

2021-09-11

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、個人再生委員が選任される場合について記載したいと思います。

 

個人再生委員とは

裁判所に個人再生を申し立てますと個人再生委員が選任される場合があります。通常の民事再生を申し立てますと監督委員が選任されますが、借金で苦しむ個人に対して監督委員のような人が選任されますと費用が余分にかかってしまいます。そこで、個人再生手続きでは、必要最小限の職務とすることで費用を抑え込む制度として個人再生委員が設けられました。個人再生委員の職務は、民事再生法第223条第2項に記載されております。

 

民事再生法

(個人再生委員)

第二百二十三条 裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。

 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。

 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。

 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。

 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。

 

個人再生委員の選任について

個人再生委員が選任されるかどうかは裁判所によって扱いが異なります。個人再生委員が選任されますと予納金として20万~30万程度を裁判所に納める必要があります。債務に苦しむ申立人にとっては負担が大きいです。個人再生委員が選任されるかどうかは裁判所によって異なりますので、各裁判所に問い合わせが必要ですが、どの裁判所でも概ね下記の場合は選任されるようです。

・本人申し立ての場合

・事業者の場合

・負債額が3000万を超える場合

上記は裁判所によって異なりますので、必ずしも当てはまりませんが、概ね弁護士が代理人となった事件で負債額が少額の場合は、選任されないようです。個人再生委員が選任されなかった案件でも財産調査が適切に行われなかったり、複雑な状況の場合は、事後に選任される場合もあります。裁判所の考えとして弁護士代理の場合は、個人再生委員の補助の必要性がないことや事業者でなく3000万円以下の債務の場合は売掛、手形取引、信用取引を継続的に行ってないことも多く、個人再生委員の援助なしでも適切に再生計画を作成できると判断しているからではないかと思います。

なお、神戸地裁では、司法書士が書類作成を行っている事件の場合は弁護士事件と同様

、個人再生委員が選任されません。

 

まとめ

個人再生の申し立てを行うと、個人再生委員が選任されることがあります。個人再生委員が選任されますと、予納金を20万~30万円程度支払う必要があり、債務者にとって負担となります。裁判所によって異なりますが、専門家に依頼した場合は、個人再生委員の選任を避けることができます。

一般財団法人とは

2021-09-04

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、一般財団法人について記載したいと思います。

 

一般財団法人とは

一般社団法人とは、法的にいえば「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された法人をいいます。一般社団法人が人の集まりに法人格を与えるものに対して一般財団法人は財産の集まりに対して法人格を与えるものです。一般財団法人は財産の集まりということで財産の散逸防止や監視機能を強化しなければならないとの観点で様々な制約が課せられております。具体的には純資産額が2期連続で300万円を下回ってしまうと解散されてしまいますし、監視機能の強化として理事、理事会、評議員、評議員会、監事を置く必要があります。

 

一般財団法人を設立するメリット

一般財団法人を設立するメリットはほぼありません。数少ないメリットとして挙げられるのは下記のとおりです。

・条件を満たせば税制上の優遇措置を受けられる

上記税制上の優遇措置とは、法人税法で定められた収益事業に課税され、公益目的事業の収益には税金が課税されない措置を受けられます。

優遇措置を受けるためには下記の条件を全て満たすことが必要で、大多数の法人では満たすことができないものとなっております。

  1. 剰余金の分配を実施しない旨を定款に定めている
  2. 解散した際に、余った財産を国や地方公共団体、一定の公益団体に贈与する旨を定款に定めている
  3. 上記1および2の定款の定めに違反する行為を行う旨を決定、もしくは行った経験がない
  4. それぞれの理事に関して、理事とその親族等である理事の合計人数が、理事の合計人数の3分の1以下である

 

一般財団法人のデメリット

・機関構成として理事、理事会、評議員、評議員会、監事を置く必要があります。

そのため、理事3名、評議員3名、監事1名以上、合計7名以上が必要となります。

・純資産額が2期連続で300万円を下回ってしまうと解散されてしまう。

・配当ができない

・ほとんどの法人で税制上の優遇措置がなく、株式会社等と変わらない

・税制上の優遇措置を受けれる場合は、会計が複雑となる

・役員任期が短いため、更新期間が来るたびに登記を行う必要があり、登録免許税等の負担が多い(理事:最長2年、監事:最長4年)

・最後の登記から5年を経過している法人は、強制解散させられてしまいます。なお、株式会社の場合は12年間ですので、かなり期間が短く設定されております。

 

まとめ

一般財団法人は財産の集まりに対して法人格を与えたものでございます。そのため、手続きが煩雑となり、純資産額が2期連続で300万円を下回ってしまうと解散されたりします。設立するメリットもほとんどなくよほどのことがない限り、株式会社や合同会社を設立することをお勧めいたします。

一般社団法人を設立するメリット

2021-08-28

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、一般社団法人を設立するメリットについて記載したいと思います。

先に結論からいえば、一般社団法人を設立するメリットはほぼなくデメリットしかないと思われます。

 

一般社団法人とは

一般社団法人とは、法的にいえば「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された法人をいいます。財団法人が財産の集まりに法人格を与えるのに対して、一般社団法人は人の集まりに対して法人格を与えた法人です。

一般社団法人を株式会社や合同会社と比較すると「営利」を行ってはならないことになっております。ここでいう「営利」とは一般的な意味ではなく、構成員に対してい配当を行ってはならないという意味です。

一般社団法人でも株式会社や合同会社と同様に収益事業を行ってもよく、違いは配当を行えるかどうかというだけです。よって、一般社団法人は公益目的がなくともよく事業目的は自由に決められることができます。

 

一般社団法人のメリット

一般社団法人を設立するメリットはほぼありません。数少ないメリットとして挙げられるのは下記のとおりです。

・世間的に公益性があるとのイメージをもってもらえる。

・条件を満たせば税制上の優遇措置を受けられる

上記税制上の優遇措置とは、法人税法で定められた収益事業にのみ税金が課税され、それ以外の収益には税金が課税されない措置を受けられます。

優遇措置を受けるためには下記の条件を全て満たすことが必要で、大多数の法人では満たすことができないものとなっております。

  1. 剰余金の分配を実施しない旨を定款に定めている
  2. 解散した際に、余った財産を国や地方公共団体、一定の公益団体に贈与する旨を定款に定めている
  3. 3.上記1および2の定款の定めに違反する行為を行う旨を決定、もしくは行った経験がない
  4. 4.それぞれの理事に関して、理事とその親族等である理事の合計人数が、理事の合計人数の3分の1以下である

 

よって一般社団法人を設立するのであれば、株式会社や合同会社を設立することをおすすめいたします。

 

一般社団法人を設立するに適した法人

一般社団法人は大規模なものから小規模な法人までカバーしているため、株式会社や合同会社と比べて制約事項が多いです。そのため、一般社団法人を設立するに適した法人は少なく主に下記のような法人が適していると思われます。

・同窓会やサークル

・業界団体(全国鐵構工業協会等)

 

一般社団法人のデメリット

一般社団法人はメリットが少なく、株式会社と比較して下記のようなデメリットがあります。

・役員任期が短いため、更新期間が来るたびに登記を行う必要があり、登録免許税等の負担が多い(理事:最長2年、監事:最長4年)

・配当ができない

・ほとんどの法人で税制上の優遇措置がなく、株式会社等と変わらない

・税制上の優遇措置を受けれる場合は、会計が複雑となる

 

 

まとめ

一般社団法人を設立するメリットとして挙げられることとし、世間的なイメージくらいです。税制上の優遇措置を受けるためには条件が厳しくほとんどの法人では設立するメリットがありません。一方で株式会社等と比較して手続きが面倒となるだけの場合が多く、設立するメリットはほとんどありません。一般社団法人を節理するのに適した形態としては、同窓会やサークル、協会等の限られた場合だけではないかと思われます。

お盆休み

2021-08-21

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

今の時期、お盆休みを取られている方も多いかと思います。

 

今年も新型コロナの流行により、政府から帰省の自粛が呼びかけられております。

今年も墓参り等ができなかったり、いろいろ我慢を強いられいる方も多いかと思います。

 

気温も毎日が蒸し暑く、過ごしにくい日々が続いております。また、梅雨の時期かと思われるくらい雨が続いております。

早い時期に収まり、明るい未来が1日でも早く収まることを願うばかりです。

抵当権追加設定登記ついて

2021-08-14

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、抵当権追加設定登記について記載したいと思います。

 

抵当権追加設定登記とは

抵当権追加設定登記とは、文字通り同一の債権を担保するために既存の抵当権に新たに担保物件を追加する登記をいいます。

例えば、以下の事例を想定していただければイメージが湧くと思います。

・土地を先行取得して、その後建物を新築

・土地の取得の際、その購入資金を得るため融資を受ける。

・融資を受けた返済を担保するため、土地に抵当権を設定

・建物を新築後、建物にも抵当権の効力を及びよう、抵当権を建物に追加設定

 

抵当権追加設定登記の方法

抵当権の追加登記には登記上、細かい決まりがあります。

 

原則として被担保債権の表記(発生原因、債権契約日、抵当権者等)については同じであることが必要となります。

但し、以下の項目については同じでなくてもよいとされております。

・債権額(こちらは、追加設定まで返済等により設定額が減少している場合も想定しております。)

・利率(こちらも債権額と同様、追加設定時に変動金利等で異なっている可能性も考慮しております。)

・債務者の住所

※根抵当権の場合は、債務者の住所変更をしないと登記が却下されますので、注意が必要です。

 

抵当権追加設定登記の登録免許税

抵当権の設定登記の登録免許税は原則、債権額の1000分の4です。(住宅の場合は、軽減措置を利用できる場合があります。)

追加設定登記の場合は、前登記証明書を添付することで追加不動産1個につき1500円となります。

追加設定登記の物件が同一管轄の場合は、前登記証明書の添付が省略できます。

 

追加設定登記ができる担保の客体

追加設定登記の担保の客体は、不動産だけでなくみなし不動産も追加設定登記の対象とすることができます。例えば、各取材団(工場財団、漁業財団、鉱業財団、観光施設財団等)、登記された立木も追加登記の対象とすることができます。

一方で、農業用動産、登記船舶、建設機械、鉄道財団は共同担保とすることができません。

なお、自動車は共同抵当を設定可能ですが、登記はできません。

認知症の方の遺言ついて

2021-08-07

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、認知症の方の遺言について記載したいと思います。

 

遺言ができる人

遺言を有効に行うには、売買と同様に意思能力が十分であることが必要とされております。一方で死に臨んでいる方の意思決定を最大限尊重すべしとの見解もあり、通常の法律行為に必要とされる意思能力より緩和されております。未成年は通常行為能力がないとされておりますが、15歳以上に遺言能力を認めていることからも表われております。また、成年被後見人の遺言を成年後見が取り消すことができないと定めていることから認知症の方にも遺言を認めていることが読み取れます。

 

(遺言能力)

第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

第九百六十二条 第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。

(成年被後見人の法律行為)

第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 

認知症を患われている方の遺言の手続き

認知相を患わている方の遺言について民法973条に定められております。

事理弁識能力が一時回復した時において医師2人の立ち会いのもと、行うことができます。但し、成年後見人又はその配偶者もしくは直系卑属の利益となる遺言は、親族後見人以外の場合を除き無効となります。

 

 

(成年被後見人の遺言)

第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。

 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

 

(被後見人の遺言の制限)

第九百六十六条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。

 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。

 

認知症を患われている方の遺言の実務上の障害

法律上は、上記のとおり認知症を患わている方の遺言を認めておりますが、実務上は困難ではないかと思います。成年被後見人の定義として「精神上の障害により事理弁識能力を欠く状況にある者」とされているので、一時回復したことを証明してくれる医師2人を探すことが相当困難と思われます。

 

また、遺言能力があったかどうかを巡って争になった際に、それに耐えうる遺言を残すことが困難です。遺言能力があるかどうかは医学的判断の他に遺言の内容効果について本人の正常な理解力及び判断に基づいてなされたものであるかの法的判断がなされるためです。判例の傾向として、遺言内容(財産額、遺言内容の難易度等)、遺言作成の経緯、遺言者を取り巻く状況、遺言内容の自然さ等を総合的に考慮し、遺言者の真意に基づくものであったかどうか、不当な干渉がなかったどうかで判断しているものと思われます。

例えば、遺言内容が比較的複雑だった案件で、公証人が遺言内容を読み上げたものに対してはいなどという簡単な言葉しか口にしなかった場合に遺言を無効とした判例があります。

 

まとめ

認知症の方の遺言は法律上認めておりますが、実務上は有効な遺言を作成することは極めて困難です。

遺言を有効に残すためには、医師の協力が必要不可欠であり、また、周りからの不当な干渉がないよう配慮し、内容もできる限りシンプルなものとする必要があります。遺言の形式も自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言としなるべく多くの方を関与させ、自然な形で作成する必要があります。

認知症の方の不動産売却について

2021-07-31

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、認知症の方の不動産売却について記載したいと思います。

 

認知症の方の不動産売却について

高齢化社会の進展に伴って認知症の方が増えておられます。認知症の方が所有する不動産を売却する際の注意点を記載したいと思います。

不動産売却を含めて契約を成立させるためには、意思能力が必要となります。意思能力が十分でないかたが行った契約行為は、法律上有効にならない可能性がございます。

 

不動産取引の場合は、不動産屋や銀行、司法書士といった人たちが関係してきます。司法書士や銀行は取引に当たって本人確認の義務があるため、認知症を患われている方が売却することが困難となります。

認知相を患われている方が、不動産取引を含む契約行為を有効に成立させるためには、成年後見制度を利用することが必要となります。

なお、成年後見制度を利用しても不動産取引には一定の制約が課され、場合によっては取引ができない可能性があります。また、不動産売却が完了しても、成年後見制度をやめることはできない場合が多いです。

 

成年後見制度

成年後見制度とは意思能力が十分でない方をサポートし、認知症を患われている方の権利擁護を図るための代理人を選任する制度です。成年後見人は、本人の財産管理と福祉施設等の契約を代わって行う身上監護を行います。

具体的には以下の行為を行うことが多いです。

・銀行取引、預貯金の管理

・家賃の支払いや不動産取引

・福祉、介護施設との契約

・年金の受領や家賃の受け取り

・税金の申告や納税

・病院の手続き

 

認知症の方の不動産取引

成年後見人は、認知症を患われている方の不動産取引の権限があります。但し、何でもかんでも成年後見人の判断で売却できるわけではありません。法的には居住用不動産と非居住用不動産で分けられます。

 

居住用不動産の売却

居住用不動産は生活するための基盤です。住み慣れた家を売却すると、本人が困る場合があります。また、認知症を患わている方の場合は特に、住環境が変われば認知症が進行することが知られています。そのため、居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可を得なければならない定められております。なお、居住用不動産とは、現に居住している不動産だけでなく、居住の用に供する予定がある不動産も含まれます。例えば現在老人ホームに入居していてかつて居住していた家に戻る可能性があれば、その不動産も居住用として許可を取る必要があります。

家庭裁判所は、売却の必要性、本人のためになるかどうか、本人の生活環境等を配慮して、許可するかどうか決めるものと思われます。

 

各家庭裁判所によって必要な手続きが異なりますが、必要書類としては以下のものが概ね求められます。

①申立書

②不動産謄本

③売買契約書案

④評価証明書、査定書

⑤住民票

 

非居住用不動産の場合

非居住用不動産の場合は、家庭裁判所の許可は不要で、成年後見人の判断で売却してよいとはされておりますが、現実的には事前に家庭裁判所に相談を行うこととなります。

成年後見人は、認知症を患われている方のための制度です。本人のためにならないと思われる売却は認められるものではありません。売却ができる理由として、本人の生活費が足りない、治療費を捻出する等本人のためになる正当な理由がある場合に限り、不動産売却が認められます。

成年後見人としては、本人の財産を処分するにあたって、正当理由があるかどうか判断し、現実的には家庭裁判所に事前に相談し、売却の要否を決定いたします。

 

まとめ

高齢化社会の進展に伴って認知症の方が不動産を売却したいとのニーズが増えております。認知症の方の不動産売却には成年後見制度の利用が必須となります。しかしながら、本人のためにならない売却の場合は、成年後見人が不動産売却を許可できない場合もありますので、注意を要します。

債権譲渡登記の債権発生始期と終期について

2021-07-24

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、債権譲渡登記の債権発生始期と終期について記載したいと思います。

 

債権発生始期と終期とは

債権譲渡登記では、譲渡債権を当事者(譲渡人、譲受人)、債権発生原因、債権発生始期と終期で特定いたします。

譲渡債権が複数の場合に、譲渡債権を特定するため、譲渡したい債権の期間を指定(始期と終期)することで、明確にいたします。

例えば、A社(譲渡人)の売掛金をB社に譲渡する場合を考えます。A社の7月分、8月分、9月分、10月分の売掛金を譲渡する場合は、債権の発生始期として7月1日、終期として10月31日を指定して、特定いたします。

 

債権の発生始期と終期の定め方

債権譲渡登記をする場合は、原則的に債権の発生始期と終期を定める必要がございます。

担保権者としては、弁済を受けられる程度は担保したいと思われるかと存じます。

そこで、おおよそ下記のように定めれば、ある程度は担保できるものと思われます。

 

債権の発生始期の定め方

例えば、譲渡人の売掛金を担保とする場合を考えます。債権の発生始期としては、第三債務者毎に債権の発生を全て調査して、第三債務者毎に定めることが一番間違いがございません。しかしながら、取引先が多い場合は、実務上、事務作業が多くなり、現実的ではございません。そこで、譲渡人の掛け取引のおおよそのサイクルを調べ、仮に3カ月が多いとすれば、登記原因日の6カ月程度を定めれば、回収漏れが少なくなると考えます。(3カ毎に売掛金の発生消滅が繰り返されますので、1サイクル前の期間程度を定めれば、ほとんどの売掛金が消滅しているため、回収漏れの可能性が少なくなると思われます。)どうしてもご心配な場合は、更に1年程度遡って設定することも考えられます。

なお、債務者不特定の場合は、将来債権しか登記できませんので、債権発生始期は、登記原因日が最短となります。(将来債権の場合は、登記原因日より債権発生始期が前の場合は、登記できません)

 

債権発生終期の定め方

債権の発生終期は、最終弁済期+αで定めればよいと考えます。本来であれば最終弁済期で十分でございますが、債務不履行が生じた場合は、困ることになりますので、αの部分を信用度等を考慮して、定めればよいかと存じます。なお、1年又は半年程度としている場合が多いです。

 

回収漏れを防止する趣旨で、債権発生終期をなるべく長期にわたって登記したいとのご要望はあるかと存じます。しかしながら、「期間の長さ等の契約内容が譲渡人の営業活動等に対して社会通念に照らし相当とされる範囲を著しく逸脱する制限を加え、又は他の債権者に不当な不利益を与えるものであると見られるなどの特段の事情の認められる場合には、右契約は公序良俗に反するなどとして、その効力の全部又は一部が否定されること」がございますので、ある程度合理的な期間とする必要がございます。

なお、将来債権として、診療報酬債権を8年3か月分譲渡することを認めた判例がございますが、これは譲渡人等の収益力等によって変わってきますので、一概にはいえないと思います。

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