認知症の方の遺言ついて

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

本日は、認知症の方の遺言について記載したいと思います。

 

遺言ができる人

遺言を有効に行うには、売買と同様に意思能力が十分であることが必要とされております。一方で死に臨んでいる方の意思決定を最大限尊重すべしとの見解もあり、通常の法律行為に必要とされる意思能力より緩和されております。未成年は通常行為能力がないとされておりますが、15歳以上に遺言能力を認めていることからも表われております。また、成年被後見人の遺言を成年後見が取り消すことができないと定めていることから認知症の方にも遺言を認めていることが読み取れます。

 

(遺言能力)

第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

第九百六十二条 第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。

(成年被後見人の法律行為)

第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 

認知症を患われている方の遺言の手続き

認知相を患わている方の遺言について民法973条に定められております。

事理弁識能力が一時回復した時において医師2人の立ち会いのもと、行うことができます。但し、成年後見人又はその配偶者もしくは直系卑属の利益となる遺言は、親族後見人以外の場合を除き無効となります。

 

 

(成年被後見人の遺言)

第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。

 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

 

(被後見人の遺言の制限)

第九百六十六条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。

 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。

 

認知症を患われている方の遺言の実務上の障害

法律上は、上記のとおり認知症を患わている方の遺言を認めておりますが、実務上は困難ではないかと思います。成年被後見人の定義として「精神上の障害により事理弁識能力を欠く状況にある者」とされているので、一時回復したことを証明してくれる医師2人を探すことが相当困難と思われます。

 

また、遺言能力があったかどうかを巡って争になった際に、それに耐えうる遺言を残すことが困難です。遺言能力があるかどうかは医学的判断の他に遺言の内容効果について本人の正常な理解力及び判断に基づいてなされたものであるかの法的判断がなされるためです。判例の傾向として、遺言内容(財産額、遺言内容の難易度等)、遺言作成の経緯、遺言者を取り巻く状況、遺言内容の自然さ等を総合的に考慮し、遺言者の真意に基づくものであったかどうか、不当な干渉がなかったどうかで判断しているものと思われます。

例えば、遺言内容が比較的複雑だった案件で、公証人が遺言内容を読み上げたものに対してはいなどという簡単な言葉しか口にしなかった場合に遺言を無効とした判例があります。

 

まとめ

認知症の方の遺言は法律上認めておりますが、実務上は有効な遺言を作成することは極めて困難です。

遺言を有効に残すためには、医師の協力が必要不可欠であり、また、周りからの不当な干渉がないよう配慮し、内容もできる限りシンプルなものとする必要があります。遺言の形式も自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言としなるべく多くの方を関与させ、自然な形で作成する必要があります。

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