給与差し押さえは個人再生申し立てで解除されるか

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は給与差し押さえされている場合、個人再生手続きを申し立てることにより効力を停止できるかについて記載したいと思います。

民事再生法第26条、39条に給与差し押さえ等の強制執行手続きの効力中止に関する条文があります。この条項によって、給与差し押さえを中止することができます。第39条は民事再生開始決定があった場合の措置、第26条は申し立てから開始決定までの間の措置について定めたものです。わかりにくいかと思いますので、以下で詳しく記載したいと思います。

 

(他の手続の中止命令等)

第二十六条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第二号に掲げる手続又は第五号に掲げる処分については、その手続の申立人である再生債権者又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。

 再生債権に基づく強制執行、仮差押え若しくは仮処分又は再生債権を被担保債権とする留置権(商法(明治三十二年法律第四十八号)又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(次条、第二十九条及び第三十九条において「再生債権に基づく強制執行等」という。)の手続で、再生債務者の財産に対して既にされているもの

 

(他の手続の中止等)

第三十九条 再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基づく外国租税滞納処分又は再生債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分並びに再生債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。

 裁判所は、再生に支障を来さないと認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、前項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の続行を命ずることができ、再生のため必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。

 

(中止した手続等の失効)

第百八十四条 再生計画認可の決定が確定したときは、第三十九条第一項の規定により中止した手続又は処分は、その効力を失う。ただし、同条第二項の規定により続行された手続又は処分については、この限りでない。

 

 

個人再生手続きでの給与差し押さえの効力の中止について

債権者が自らの債権を回収するため、債務者の給料を差し押さえ、4分の1を上限に債権者に支払いを求めることができます。

個人再生手続きでは給与差し押さえ等の強制執行の効力停止について定めがあります。

①個人再生開始決定があった場合:当然に中止(第39条)

②個人再生申し立てから開始決定までの間:債務者の申し立てにより強制執行の中止(第26条)

 

個人再生開始決定があった場合

個人再生開始決定があった場合は再生債権に関する強制執行は「法律上」は何らの手続きを要せず当然に中止いたします。しかし、強制執行を行う裁判所と個人再生を扱う裁判所は別部署のため実際に効力を中止するためには、執行裁判所(給与差押えをした裁判所)に対して開始決定正本及びこれを停止文書とする旨の上申書を提出する必要があります。なお、これらの措置は差し押さえだけでなく仮差押えも含まれます。

 

個人再生申し立てから開始決定までの間

個人再生開始決定があれば当然に給与差し押さえ等の強制執行手続きは当然に中止されます。しかしながら個人再生開始決定までには時間がかかる場合もあります。そこで、個人再生申し立てをもって中止する条項が定められております。それは債務者が裁判所に対して強制執行中止命令を申し立てることで可能となります。裁判所は個人再生のため必要があると認めるときは、強制執行手続きの中止を命じてくれる場合もあります。

 

給料を受け取るためには

強制執行手続きを中止しただけでは給料は全額受け取ることができません。ここでいう「中止」とは中断の意味で執行の効力はまだ残ったままだからです。最終的に全額受け取れるようになるのは再生計画認可決定が下りた時です。(民事再生法第184条)

再生計画認可決定が下りた時、ようやく勤務先等にプールされてあった給料全額がやっと受け取れるようになります。

再生計画認可決定までは通常数カ月かかる場合もあり、それまで待てないという方もいらっしゃるかと思います。そのような方のため第39条第2項に強制執行の取消命令の定めがあります。裁判所は債務者の申し立てにより「再生のため必要があると認めるときは」強制執行の取消しを命ずることができるということになっております。従って個人再生手続きの申し立てを行い、開始決定がでた段階で強制執行の取り消し申し立てをすることで供与の全額を受け取れるようにできる可能性があります。但し、この段階で全額を受け取るためには「再生のため必要があると認めるとき」という条件を満たさねばなりません。そこで、支払われている給与の4分の3だけでは生活費が足りない等個人再生手続きに影響が出る旨の上申を裁判所に行い、それを認めてもらう必要があります。裁判所がそれを認め取り消し命令がでるとその時点でプールされてある給与を全額受け取ることができるようになります。

 

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