登記手続きにおけるオンライン申請の不便さについて

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

最近、行政手続きのオンライン手続きについてさかんに論じられております。

登記申請手続きは約10年前にオンライン化されておりますが、完全なオンライン申請は手続きの厳格さもあってほとんど利用されておりません。不動産登記や商業登記では、申請書のみオンラインで、その他の添付書類を従来の紙ベースの申請を行ういわゆる半ライン申請が利用されております。

本日は、不動産登記申請における半ライン申請の不便さについて記載したいと思います。

 

不動産登記申請におけるオンライン申請の不便さ

商業登記においては半ライン申請は、非常に便利なため当事務所でも利用させてもらってます。一方で不動産登記は申請が不便なためほとんど利用しておりません。

なお、不動産登記でも工場財団等の財団登記はオンライン化しておりませんし、債権譲渡登記や動産譲渡登記では半ライン申請は認められておりません。

 

不動産登記の半ライン申請の不便さについて記載したいと思います。

 

1.補正ができない

オンライン申請の最大の問題点は補正ができないことです。通常の紙申請の場合は、軽微の誤記や間違いに対しては補正が認められております。(重度のものは認められておりません。)ちょっとした誤記などは、補正で対応ができます。登記の取り下げを行った場合は、巨額の損害賠償の対象となる可能性があるため補正ができるかどうかは人生に直結することになります。ちょっとした誤記等でも補正できないとなると敢えて危険を冒してオンライン申請を利用するメリットが薄いです。

 

2.登記原因証明情報をPDF化し送信する必要があること

半ライン申請では、申請書のみオンライン化手続きで行えばいいのにかかわらず何故か登記原因証明情報のみPDF化して送信する必要があります。(もちろん、紙ベースでも申請する必要があります。)1件~数件程度の申請では問題ありませんが、プロジェクトファイナンスやLBOファイナンス等の大型担保案件では登記原因証明情報は、数100ページから1000ページ以上となることもよくあります。紙ベースでも提出する必要がある登記原因証明情報を1ページずつPDF化(製本しておりますので1ページずつPDF化する必要があります。)して、オンラインでも提出することは大変手間と時間がかかります。登記申請は書面を受領したらすぐに申請が求められることが多く、時間勝負のところがあるにもかかわらず手間をかけさせる半ライン申請は大変使い勝手が悪いものになっております。

 

また、オンライン手続きでは補正ができないため、PDF化に当たって文字化けや抜け、送信ミス、添付忘れ等があった場合、保険ではカバーできない巨額の損害賠償を負わされるためオンライン申請は事実上利用できないものとなっております。

 

3.登記識別情報の打ち込み又はバーコードでの読み取りが必要

オンライン手続きでは、登記識別情報の打ち込み又はバーコードでの読み取りが必要です。1件~数件程度の申請では問題ありませんが、プロジェクトファイナンスやLBOファイナンス等の大型担保案件では登記識別情報だけでも数100個以上あり、却って手間と時間がかかります。

 

4.申請から2日以内に到着しないと却下される

不動産登記には、登記申請から2日以内に添付書類を法務局に到着しないと登記申請が却下されることになります。商業登記ではこのような制限がないので常識的な範囲で送付すればよいですが、不動産登記では可能な限り速やかに送付する必要があります。近い場所に申請する場合は問題ありませんが、遠方申請の場合、郵便が遅配等で到着しなかった場合は大問題になります。せめて到着日ではなく発送日に制限をかける等に変更してもらいたいです。

 

5.委任状に登記識別情報の暗号化、複合化の項目が必要

紙申請の場合、登記申請の委任を受ければ登記済証(いわゆる権利証)の受領や登記に関する一切の業務ができますが、何故かオンライン申請の場合は委任状に登記申請に関する一切の件のほか登記識別情報の暗号化、複合化の項目ないと申請を受け付けてもらえず、登記完了後の登記識別情報の受領ができない取り扱いとなっております。あまりにも形式的すぎるのではないかと思います。

 

6.一般の方が申請が困難なものになっている

本来、オンライン申請は申請人の負担軽減や利便性を目的にしているはずです。登記のオンライン申請をするためには、特定の認証業者からの電子証明書を取得する必要(手続きが非常に厳格で手間と費用がかかります。)があり、とても一般の方が申請できるものになっておりません。また、紙申請に比べ上記のとおりいろいろな制約を課しているため事実上、司法書士のみが利用できるシステムになっております。一般の方が本人申請をしようとすれば紙申請でしかできないものとなっております。

 

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