生活保護の4原理

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は生活保護の4原理について記載したいと思います。

生活保護についてご存じでない方は少ないと思います。一方で誤った情報が横行しており、不適切な運用もされていることも事実です。そこで、本日は生活保護4原理について記載し、生活保護制度の基本的な考え方を感じていただければと存じます。

 

生活保護とは?

生活保護は憲法25条に規定された理念に基づき、国家が生活に困窮する全ての国民に対しその困窮の度合いに応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長することを目的として設けられた制度です。生活保護で言う最低限度の生活は健康で文化的な生活水準を維持できるものでなければならないとされております。

生活保護制度は、この目的を実現するため、4つの原理と4つの原則で成り立っております。(原理と原則の違いを厳密に違いを述べることはできませんが、ここでは原理には例外がなく原則には例外が存在する程度の理解で問題ないと思います。)

本日は、このうち4つの原理について記載したいと思います。

 

生活保護の4原理

生活保護の4原理とは、①国家責任による最低生活保障、②保護請求権の無差別平等、③健康で文化的な最低生活保障、④保護の補足性です。この4原理は国家が必ず遵守しなければならないものです。この原理について1つ1つ見ていきたいと思います。

 

1.国家責任による最低生活保障

憲法25条で規定された理念に基づき生活保護法第1条にこの原理が規定されております。

国家は、全ての国民に対して生活が困窮することがないよう保護することを義務付けております。ここでよく問題となるのが、「その自立を助長することを」の解釈です。

「自立助長」の意味ですが、就労による経済的自立のための支援と解釈されており、世間で言われているいわゆる「惰民防止」を意味しているものではないとされております。

 

第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

 

2.保護請求権の無差別平等

生活保護法第2条では、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。」と規定されております。

現在の生活保護法は、貧困に至った理由は一切問わず、もっぱら現在の生活の困窮度のみを指標として生活保護を行うかどうかを判断しなければならないとしております。

例えば、ギャンブル等で財産を使いはたし、生活困窮に至った場合でも保護しなければならないと規定されております。

 

旧生活保護法では、①勤労の意思がないもの、②勤労を怠る者、③素行不良なものには、生活保護を与えないとされておりました。現在の生活保護法では、過去は問わず、現在生活が困窮していればともかく保護をして生活を建て直しを優先させることを謳っております。素行の改善や勤労は生活を立て直したのち、生活指導等で自立を支援することを国家に求めております。よって過去の行いや現在の「素行不良」を理由にして生活保護を拒否してはならないということです。

 

3.健康で文化的な最低生活保障

日本国憲法で規定されております「健康で文化的な最低生活保障」を国家は全国民に与えなければならないとされております。単にかろうじて生存を続けることを得しめるというものであってはならず、少なくとも人間としての生活を可能ならしめるという程度のものでなければならないとされております。

 

4.保護の補足性

この原理は生活保護法第4条に規定されております。生活保護は利用しうる資産等を駆使した後、保護を与えるとしております。

 

(保護の補足性)

第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

 民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

 

この原理でよく問題となるのは扶養義務の解釈です。厚労省の通達では、扶養義務者に相談してからでないと申請を受け付けないと説明することは申請権の侵害に当たるおそれがあるとしております。かつて役所の窓口等で扶養が保護の要件のごとく説明を行い、申請をあきらめさせるようなことが行われていたそうですが、このような行為は現在の法解釈ではやってはいけないこととされております。

 

現行法での扶養義務者への通知等は生活保護法第24条8項、28条第2項に定められております。現行法では、扶養義務者への通知および扶養義務者からの報告は例外的な場合に行うと規定されております。(施行規則第2条、第3条)

これにより、むやみやたら扶養義務者に行政からプレッシャーをかけ、生活保護申請を思いとどまらせることを防止しております。

 

通知、報告を求める場合

①当該扶養義務者が法第七十七条第一項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合

②申請者が配偶者からのDV等を受けていないこと

③保護の実施機関が、当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

 

(申請による保護の開始及び変更)

第二十四条 8 保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 

(報告、調査及び検診)

第二十八条 2 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始又は変更の申請書及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者若しくはその他の同居の親族又は保護の開始若しくは変更の申請の当時要保護者若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。

 

生活保護法施行規則

(扶養義務者に対する通知)

第二条 法第二十四条第八項による通知は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、行うものとする。

一 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七十七条第一項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合

二 保護の実施機関が、申請者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第一項に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合

三 前各号に掲げる場合のほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

2 法第二十四条第八項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一 申請者の氏名

二 前号に規定する者から保護の開始の申請があつた日

 

(報告の求め)

第三条 保護の実施機関は、法第二十八条第二項の規定により要保護者の扶養義務者に報告を求める場合には、当該扶養義務者が民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による扶養義務を履行しておらず、かつ、当該求めが次の各号のいずれにも該当する場合に限り、行うものとする。

一 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第七十七条第一項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合

二 保護の実施機関が、要保護者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第一条第一項に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合

三 前各号に掲げる場合のほか、保護の実施機関が、当該求めを行うことにより要保護者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0789559063電話番号リンク 問い合わせバナー