成年後見制度と比較した民事信託の問題点

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

最近、色々な士業の宣伝文句で成年後見制度と比較して民事信託の優位性をうたっている広告をよくみます。

本日は、これらの広告とは逆に成年後見制度と比較した場合の民事信託の問題点を記載したいと思います。

 

成年後見制度と比較した民事信託の問題点

成年後見制度と比較した民事信託の問題点をざっと挙げたいと思います。

 

1.身上監護機能がない

2.裁判所(公的機関)からの監督機能がない

3.一部の財産管理しかできない

4.受託者を探すのが大変

5.受託者は原則的に債務負担を負う

6.所有権が移転する

7.判断能力が衰えた後は利用できない

8.民事信託を真に正しく組成できる専門家が少なく、粗悪な信託が多く出回っている

 

1.身上監護機能がない

身上監護とは、生活や医療、介護施設等に関する契約や手続きを行うことです。なお、身の回りの世話をすることは含まれておりません。

成年後見制度はご本人の意思決定支援や生活サポートをすることを目的にしているに対して、民事信託は財産管理を目的としているため、身上監護機能がありません。

 

2.裁判所(公的機関)からの監督機能がない

成年後見制度では後見人等に対して裁判所から監督を受けます。一方で民事信託は受託者に対して公的機関から監督を受けることはありません。名前のとおり受託者は財産を信じて託せる人を選ぶ必要があります。

 

3.一部の財産管理しかできない

成年後見制度はご本人の財産を包括的に管理ができますが、民事信託は包括的に財産を管理することができません。契約で定めた一部の財産を本人から切り離して、管理することしかできません。

 

4.受託者を探すのが大変

成年後見制度は、家庭裁判所が後見人等を任命いたします。家族等で適任者がいない場合でも専門家の中から任命してくれるため、基本的になりてがいないことはありません。(身寄りがない人でも成年後見制度は利用できます。)

一方で民事信託の受託者は基本的には家族がなります。司法書士等の専門家が受託者にになることはできません。基本的には、家族から適任者がいない場合は利用できません。

 

5.受託者は原則的に債務負担を負う

成年後見制度では、後見人等は本人の債務負担を負うことはありません。

一方で民事信託制度の受託者は、信託財産責任負担債務について原則的に債務負担を負います。

 

6.所有権が移転する

成年後見制度では、本人の財産権が移転することはありません。本人名義の財産を後見人等が包括的に管理致します。

一方で民事信託制度では、所有権は受託者に移転します。

 

7.判断能力が衰えた後は利用できない

成年後見制度では、判断能力が衰えた後に利用できるのに対して、民事信託は判断能力が衰えた後は利用することはできません。民事信託は、意思能力があるときに契約行為を行う必要があるためです。民事信託制度は、意思能力が衰えることに備えて保険として行うものです。

 

8.民事信託を真に正しく組成できる専門家が少なく、粗悪な信託が多く出回っている

民事信託は基本的に複雑な契約です。民事信託を真に正しく組成できる専門家が少なく、最近粗悪な信託が出回っていると注意喚起がされております。真面目に取り組んでいる専門家も多いですが、一部の「専門家」と称する方が雛形を少しいじった信託を組成する例も多いと聞きます。形だけの提案書なるものを作成し、体裁を整えるように見せて、実際はやっつけ仕事で行っている例も散見されます。専門家報酬もコンサルティングだけで最低50万円からという事務所も多く、登記等別の事務も加われば100万円を超える報酬をとる例も非常に多いです。やっている業務に対してあまりにも報酬が高すぎるため、法外な報酬を要求されている場合、業務内容についてよくヒアリングを行っていただければと思います。

また、民事信託は、将来にわたって行われるもので、下手な信託を組成すると後々困る事例もあります。例えば、不動産を信託した場合、事情があって売ることが必要になったとき、信託目的に不動産売却について書かれていなければ事実上、売ることができなくなります。この場合、信託を変更する必要がありますが、信託変更について高いハードルを設定していた場合(受託者が勝手ができないようガチガチに契約を固めることはよくあります。)、信託契約も変更できず、不動産が塩づけされることもあります。

くれぐれも形だけの「専門家」に依頼することは慎重にご検討いただければと思います。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0789559063電話番号リンク 問い合わせバナー