個人再生と養育費

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

本日は、個人再生手続きにおける養育費の取り扱いについて記載したいと思います。

個人再生は借金の支払いが困難な方が生活再建のため、借金を減額し、その減額した債務を3年かけて返済する手続きです。養育費といえども支払うことが困難な状態に陥っていることも多いです。一方で養育費は支払われないと子供の将来に関わってきます。そこで、個人再生で養育費はどのように取り扱われるか記載したいと思います。

 

個人再生開始前の養育費の取り扱い

再生開始前に発生した養育費と再生開始後に発生する養育費で取り扱いが異なります。再生開始前に発生した養育費は民事再生法第84条、第229条第3項より非減免債権とされました。再生開始前に発生した(滞納している)養育費はこの規定により、債権者の同意がない限り減額その他権利変更ができなくなりましたので、再生手続きにより債務が減額できず滞納分は全額支払う必要があります。しかし、非減免債権を再生期間中に全額支払わなければならないとすると、再生計画が立てられなくなる場合も多く、結局、養育費もほとんど支払いができなくなります。そこで、非減免債権については、再生期間中は他の再生債権の減額率で圧縮した額だけ支払い、再生期間が満了する時に残額を一括弁済するという取り扱いにしております。

仮に養育費月3万円、1年間分の36万円滞納、再生計画の他の再生債権の返済額が2割となっていたとすると、再生期間中は36万円の2割分の7万2000円を再生期間中は返済することになります。再生期間が満了したら残額28万8000円を一括で返済する必要があります。

 

(再生債権となる請求権)

第八十四条 再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。次項において同じ。)は、再生債権とする。

 

 

(再生計画による権利の変更の内容等)

第二百二十九条

 第一項の規定にかかわらず、再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。

 次に掲げる義務に係る請求権

 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務

 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務

 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務

 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務

 イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

 

(再生計画の効力等)

第二百三十二条

 第二項に規定する場合における第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権であって無異議債権及び評価済債権であるものについては、第百五十六条の一般的基準に従って弁済をし、かつ、再生計画で定められた弁済期間が満了する時に、当該請求権の債権額から当該弁済期間内に弁済をした額を控除した残額につき弁済をしなければならない。

 

個人再生開始後の養育費の取り扱い

再生開始後の養育費は民事再生法第119条より共益債権とされております。従って、滞納していた養育費と違って、民事再生手続きによらず随時弁済することになります。養育費は要扶養状態の継続によって日々発生する権利です。養育費は扶養請求権者の日々の生活を維持するために必要な額を扶養義務者にとって可能な限度でその都度支給するという性質を有しております。滞納していた養育費と同様に非減免債権とすると、再生期間中は養育費を圧縮され、再生期間が満了すると子供の養育期間分の全額を一括して支払わなければならなくなり、上記の養育費の性質に合致しなくなります。将来の養育費は、その都度都度支払いを受けなければ子供にとっては酷であり、共益債権として個人再生手続きとは関係なく支払期日が到来すれば随時支払わなければなりません。

 

(共益債権となる請求権)

第百十九条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。

 再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権

 

養育費の支払いが困難な場合

債務負担や職場環境の変化によって審判で決められた養育費の支払いが困難な場合は、裁判所に事情変更を理由として審判の変更の申し立てをすることができます。

なお、個人再生手続きでは審判で決められた養育費の支払いも履行可能性の判断をされますので、養育費の支払いが困難となっている場合は、個人再生を認可されない可能性があります。従って、このような場合は家庭裁判所に養育費の変更を申し立てるか、前妻と協議して減額してもらうなどの措置を講じる必要があります。

 

まとめ

個人再生手続きでの養育費は再生開始前後で扱いが変わります。再生開始前は、非減免債権扱いとなり、基本的には個人再生手続きの中で処理されます。再生期間中は圧縮された額を返済し、再生期間が満了した後は残額を一括して支払う必要があります。

再生開始後は、共益債権として扱われ個人再生手続きの外で随時弁済する必要があります。

また、養育費の支払いが困難で再生計画の履行可能性に問題が生じるような場合は、家庭裁判所に変更を申し立てるか前妻と協議して減額の合意を得る等、再生計画が履行できる程度にしておく必要があります。

 

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