不動産登記申請における利益相反取引

皆様、こんにちは。

司法書士の北村でございます。

 

不動産登記における利益相反取引について記載したいと思います。

会社法では、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときには、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならないと規定されております。

 

不動産登記において、利益相反が問題となるのは主に子会社との取引や担保設定の時です。代表例として以下の場合は、利益相反取引と判断されます。

 

利益相反取引とされる例

・甲会社が銀行から融資を受けその担保として、乙会社所有の土地に抵当権を設定する場合

・甲会社の役員構成:代表取締役B 取締役 

・乙会社の役員構成:代表取締役A 取締役 B、C 監査役 F

・乙会社は取締役会設置会社

 

この場合、乙会社の取締役会で利益相反取引の承認決議を取る必要がございます。

 

不動産登記申請における利益相反取引

利益相反取引が起こった場合、不動産登記手続きでしばしば問題になるのは、押印関係です。不動産登記では、会社法で定められた押印より厳しい対応が必要となります。この点に関して、苦情やご質問が多いのでその理由を記載いたします。

 

不動産登記で必要な押印について上記例で説明いたします。

 

取締役会議事録に押印が必要な人

 ・実開催の場合:取締役会に出席した取締役、監査役全員

 ・書面決議の場合:議事録作成者と監査役全員

押印

 代表取締役:会社実印

 その他の役員:個人実印

必要な印鑑証明書

 押印者の個人実印分の印鑑証明書と会社実印分の印鑑証明書

 

会社法では取締役会議事録への押印は実印でなくともよいとされております。

従って、会社法上は認印で押印がされていても議事録は有効となります。

しかし、不動産登記では、実印でなければ申請は却下されます。

 

不動産登記申請で実印が求められる根拠は不動産登記規令第19条にあります。これによると、第三者の承諾書(利益相反取引における取締役会議事録は不動産登記においては第三者の承諾書にあたります。)は、作成者の実印を押印して印鑑証明書を添付して申請することとされております。取締役会議事録は会社法で出席取締役、監査役の押印義務を課し、不動産登記令で押印者の実印と印鑑証明書を提出することが定められているため、上記のような押印と印鑑証明書が必要となります。

 

なお、取締役会を書面決議とした場合、作成者は議事録作成者のみでよいと会社法で規定されているので、議事録作成者のみの押印で不動産登記が申請できると思われるところ、法務局は登記を受け付けてくれません。これは、書面決議の要件として監査役に異議がないことが必要とされていることから、監査役が異議がない旨を記載した書面に不動産登記令第19条を適用し、全監査役の実印での押印とその印鑑証明書を提出する必要があるとの登記先例があるため、法務局は申請を受け付けてくれません。

 

このように利益相反取引時の登記申請は会社法で定められた以上の押印が必要となるため、注意が必要です。

 

不動産登記令

(承諾を証する情報を記載した書面への記名押印等)

第十九条 第七条第一項第五号ハ若しくは第六号の規定又はその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならない同意又は承諾を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、その作成者が記名押印しなければならない。

2 前項の書面には、官庁又は公署の作成に係る場合その他法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。

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